JAPANESE
現代文
輿水淳一先生
「読む」とは「文章を眺めること」ではなく「文章の意味をつかむこと」であるという考えから生み出された「脱・字面読み」メソッドを伝授。読めると分かる、分かると解けるという真っ当なプロセスで生徒の成績を引き上げる。時に深く、時に楽しく展開される講義は生徒の心を鷲掴みにする。
過去問演習の目的は三つあります。
①「自分の現在地を知る」。志望校合格という目標を達成するためには、何点くらい必要なのか、そして今自分は何点くらい取れているのか、その差はどれくらいなのか、ということを明確に知る必要があります。そして明らかになった課題に対して、作戦を立てて取り組んでいきます。
②「得点アップのためのトレーニング」。この目的で過去問演習をする場合、重要なのは「最初は時間を気にしないで解く」ということです。早く解くことに気を取られると読解力も解答力も身につきません。「得点アップのためのトレーニング」と、「時間内に解くトレーニング」を明確に区別することが大切です。
最後に③「本番の練習」。本番同様の緊張感、集中度、モチベーションで、何度も何度も行うからこそ、本番で実力を出し切ることができます。
そして、受験勉強の最終局面では、本番と同じ順番、同じ時間制限で取り組みましょう。
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過去問演習を行う3つの目的についてより詳しく説明します。
① 自分の現在地を知る、②得点アップのためのトレーニング、③本番の練習。
まず①について。目標を達成するためには、目標までの距離を測る必要があります。志望校合格という目標を達成するためには、志望校に合格するために何点くらい必要なのか、そして今自分は何点くらい取れているのか、その差はどれくらいなのか、ということを明確に知る必要があります。志望校が決まっている人は早い段階で一度、実際の試験時間で過去問を解いてみましょう。たとえば全教科の合計で目標点(合格最低点)まで50点届かないのであれば、その50点をどの教科で補うのか、そしてそのためにはどのような勉強をすればよいのか、そうした「作戦」を立案するために、志望校の過去問を解いて自分の現在地を把握しておきましょう。
ほとんどの大学は小問ごとの配点を公表していないので、自分で大まかに予想配点を考えるとよいです。また記述問題の採点は、「過去問演習講座」をフル活用しましょう。
次に②について。当たり前のことですが、志望校の過去問は、いかなる問題集、いかなるテキスト、いかなる模試よりも志望校の問題傾向に即しています。したがって志望校の過去問演習は、志望校合格のための最も効果的なトレーニングになります。上記①、下記③の場合と異なり、得点アップのためのトレーニングとして過去問演習をする場合、重要なのは「最初は時間を気にしないで解く」ということです(特に現代文の場合)。最初から制限時間を設けてしまうと、早く解くことに気を取られて読解力も解答力も身につきません。「得点アップのためのトレーニング」と、(次の③のような)「時間内に解くトレーニング」を明確に区別することが大切です。
記述式問題の添削(採点)についても一言。記述答案の添削を自分で行う場合、模範解答に含まれる「要素」が自分の答案に含まれているかどうかという観点だけでなく、自分の答案を「他者の目」で見た時に、分かりやすい書き方ができているかどうか、誤読の余地のない文章かどうか、という観点も常に持ってください。たとえば「彼は電話をしながら食事をする彼女を見ていた。」という文章は二通りの意味に取れてしまう「誤読の余地のある文章」です。このような場合、一つの簡単な解決策は、「読点を効果的に打つこと」です(「彼は電話をしながら、食事をする彼女を見ていた。」or「彼は、電話をしながら食事をする彼女を見ていた。」)。
最後に③について。避難訓練でよく言われる「練習は本番のように、本番は練習のように」というスローガンは過去問演習においても当てはまります。ぶっつけ本番でうまくいく人はほとんどいません。「本番の練習」を、本番同様の緊張感、集中度、モチベーションで、何度も何度も行うからこそ、本番で実力を出し切ることができます。過去問演習はそのための最良の、そして唯一の方法です。受験勉強の最終局面では、本番と同じ順番、同じ時間制限で取り組みましょう。
日によってやる気満々だったり無気力だったりと気分にムラがある人は、たとえば英単語や漢字の勉強など、毎日必ず行うべきことを「習慣化」してしまいましょう。歯磨きや入浴と同じように、その日の気分に関わらず必ず行う習慣は、規則正しい生活のベースになります。寝る前や起きた直後にすることをルーティーンにできればなおのこと良いです。不安にさいなまれたり落ち込んだり自信を持ったり失ったりと、受験生の気分は浮き沈みしやすいものです。そのような気分のムラに左右されない「習慣」を一つでも多く、一日でも早く定着させて、志望校までの距離を淡々と縮めていきましょう。
この夏、何か一つ具体的な「習慣」を定着させてみませんか。「今の自分に必要なことは何か」ということを考え、そこから「毎日すべきこと」「週に一~二回すべきこと」を割り振っていく。先生や先輩などから、良い習慣の具体例を教えてもらうのもいいでしょう。
アメリカの心理学者ウィリアム・ジェイムズによれば、「人は生活の一部を無意識に送れるようにしたほうが良い」のだそうです。良い習慣が身につけば、「頭脳に余裕ができ、真に興味深い活動分野へと進むことができる」と彼は言っています。『戦争と平和』や『アンナ・カレーニナ』などの傑作で知られるロシアの文豪トルストイも習慣を大切にしていました。彼が日記に記した次の一節は、彼が習慣をいかに重要視していたかをよく示しています。「私は毎日書かなければならない。それは成果をあげるためではなく、習慣を失わないためだ」※。
※高2生・高1生アドバイス【参考文献】メイソン・カリー 著 金原瑞人/石田文子訳『天才たちの日課』
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この夏、何か一つ、二つ、具体的な「習慣」を定着させてみませんか。たとえば朝起きたら必ず英単語の確認をするとか、寝る前に必ず『高校生のための批評入門』(ちくま学芸文庫から出ている伝説級名著)を一章読むとか、今日取り組んだ勉強内容を毎日必ず日記につけるとか。色々あると思いますが、「今の自分に必要なことは何か」ということを考え、そこから「毎日すべきこと(習慣化すべきこと)」「週に1~2回すべきこと」を割り振っていくと良いと思います。先生や先輩などから、良い習慣の具体例を教えてもらうのもいいでしょう。
アメリカの心理学者ウィリアム・ジェイムズによれば、「人は生活の一部を無意識に送れるようにしたほうが良い」のだそうです。良い習慣が身につけば、「頭脳に余裕ができ、真に興味深い活動分野へと進むことができる」と彼は言っています。『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』などの傑作で知られるロシアの文豪トルストイも習慣を大切にしていました。彼が日記に記した次の一節は、彼が習慣をいかに重要視していたかをよく示しています。「私は毎日書かなければならない。それは成果をあげるためではなく、習慣を失わないためだ」。
日本の現代作家、村上春樹も毎朝4時に起きて自分のためにコーヒーを淹れてから、4~5時間仕事机に向かうことを40年来の習慣にしているそうですが、5時間かけて一行も書けなかったとしても、とにかく毎日決まった時間に仕事机に向かうこと自体が大切なのだと述べています。それが創造性と生産性に必要な規則正しい生活を支えるからです。ちなみに村上春樹は「小説家に必要な資質」として、「才能、集中力、持続力」の三つを挙げていますが、自分ではどうにもできない才能と違い、集中力と持続力に関しては「トレーニングによって後天的に獲得し、その資質を向上させていくことができる」と書いています。そして、「集中力と持続力を有効に用いれば、才能の不足や偏在をある程度補うことができる」とも。集中力と持続力は、受験生にも必要な資質と言えそうです。
【参考文献】
メイソン・カリー 著 金原瑞人/石田文子 訳『天才たちの日課』
村上春樹 著『走ることについて語るときに僕の語ること』
18世紀スコットランドの哲学者デイヴィット・ヒュームに「人間は習慣の束である」という言葉があります。良き習慣にせよ、悪しき習慣にせよ、人間は日々繰り返される習慣によって形成されている、という意味です。今回この記事では「良き習慣」を定着させることの大切さについて字数を費やしましたが、当然、「悪しき習慣」を避けることも重要です。夜更かしや極端な運動不足、スマホ依存や無駄なペン回し……。皆さんの中に見直すべき「悪しき習慣」は無いでしょうか。特にスマホは現代人の生活に不可欠なツールになっていますが、その分、依存を深めやすい。ほぼ無意識にスマホを開いてしまう人、気がついたらスマホで動画やゲームを見ていることが多いという人は要注意です。スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンが著した『スマホ脳』には、スマホの弊害がこれでもかというくらい述べられています。「スマホで時間を溶かしている」という自覚のある人は、この夏、『スマホ脳』を一読してみてスマホとの付き合い方を見直してみるのも良いかもしれません。