MATH
数学
山之内聖拡先生
エネルギーが溢れる熱く前向きな授業で、多くの生徒から強い信頼を受け、やる気と実力を向上させている。 公式や定理の使い方ばかりでなく、成り立ちを徹底的に追究することで、「問題の外見」ではなく、「問題の本質」を見抜く力を付けさせる。 合言葉は『やればやるほどのびる!』。考える楽しさを体感し、いつの間にか数学が大好きに、そして得意科目に!
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」
大学受験において、これは金科玉条です。多くの受験生は「敵を知ること」にはよく意識が向くのですが、「己を知ること」がなおざりになりがちです。
例えば生活面で、朝の支度にはどれほどの時間がかかっていますか?自分にとってちょうどよい睡眠時間の周期は把握していますか? 毎日ほぼ同じように過ごしているにもかかわらず、即答できる高校生は意外と少ないものです。一事が万事で、そういう人は他のことでも、どれくらい時間がかかって、どれくらいの負担で、ということを意識せずに過ごしていることが多いので、学習計画に関しても、どんどんずれ込んでいきます。学習計画を実りあるものにするために大切なのは、まず自分を知ることです。ちなみに私の毎朝の支度は約40分です。睡眠時間は100分周期で基本は約400分または約500分です。その他のことも、毎日のことであればどんなことにだいたいどれくらいの時間が必要か把握しています。なので、日々の予定や計画が大きく狂うことは少ないです。と偉そうなことをいうものの、授業の収録時間は押してしまいがちですが(笑)。みなさんも、まずは自分の毎日の行動でどれくらいの時間を使っているのかを把握し、そのうえで学習プランや一日の過ごし方を決めてみませんか?
そこから発展して、問題集の配分ペースや授業の予習・復習にかかる時間を正しく見積もれるようになれば、合格から逆算した学習計画が正しく遂行でき、合格がグンッと近づくと思います。ぜひ夏を迎える前に、そういった基本的な準備を行っておいてくださいね。
学習面に関しては二つ意識してほしいことがあります。一つは、全単元において「穴のない状態」を作ることです。「穴がない」の定義が人それぞれだと思うので、具体的な目安としては教科書の問題や基本解法の定石集のような問題集の問題を1題5~10分で確実にスラスラと解けることです。それがうまくいかないテーマや分野、単元があれば、そこが「穴」です。まずは穴を探し、見つけたら埋めていく。夏までにすべての単元に穴がない状態を作ってください。
もう一つは、復習で解き直しをするときに「ノートや解説を一切見ずに白紙の状態から自力で答案を完全に再現できる」までを実践することです。多くの受験生が「だいたいわかった」や「あとはこれをあれこれ計算すれば答えが出るから大丈夫」と手を動かさずに終わってしまいます。残念ながらそれでは何も修得できません。ぜひ手を動かしてください。
そして授業を受けているときや、復習しているときも「答案の再現性」を意識してください。それだけでも学習効率が上がりますよ。
人間の性格のほとんどは、その人の「優先順位」の結果だと私は思っています。極端な例ですが、「自分の負担」よりも「困っている人を助ける」の方が優先順位が高いから「親切な人」と判断される。このように「~~よりも〇〇が優先順位が高いから、こういう行動になった。その結果性格が〇〇な人と判断される」。どうですか、こう考えると、 性格といわれるものの一部は日ごろの意識づけで変えられそうですね。
つまり、人は変われる。いつからだって、なりたい自分になれる、ということです。常に「なりたい自分」または「なりたくない自分」をイメージして自分ならこんなときどうするか、どれを優先するかと考えて行動してみよう! そういう点でいうと、なるべく早い段階で「(周りから)褒められると伸びる」からステップアップが図れたら嬉しいですね。
学年を重ねると、そうそう周りからは褒められることはありません。大学受験では褒められないとやる気が出ないなどと言っている余裕はありません。やるしかないんです。だから「自分で自分を褒める」へステップアップしてみませんか? 自分で自分を褒めるのって、意外と楽しいですよ!
高校課程に入ると、数学は抽象度が格段に上がり、パッと頭でイメージしにくいものや、判断が難しくなるものが多く出てきます。そのギャップに悩む人が多いですね。数学のルールは、印象やイメージ以上に「一貫性」や「こうなるべき」を中心に作られているという認識を持つと、理解や納得がスムーズになると思います。
あとは答えまでのステップが多いので、「段取り力」が問われます。日頃の授業でも、定義やルールを教わるときは「一貫性」を意識しながら、問題の解説を聞くときは「段取り」を意識しながら受けてみるといいと思いますよ。きっと学力向上のきっかけになるはずです。