SCIENCE
生物
緒方隼平先生
学生時代から努力と経験を重ね続けてきた気鋭の講師。生物学は現在の自然現象を基盤に進化の可能性を探求する学問であると解し、常に生徒に考えさせることを追求する。暗記と無縁の講義は、いわばリスナー参加型の一つの物語となるだろう。
今回は過去問の復習の仕方に絞ってお伝えします。次の図を見てください。(a)が問題を解いて分かった今の実力です。一方で、(b)は合格するのに必要なライン(7~8割程度)です。(a)を知ることだけで満足していませんか? 過去問演習で重要なのは、「合格するために必要なラインと今の実力の差を埋めるために何をすべきか」を明確にすることです。知識が不足している人は、再点検。考察力が不足している人は、問題文や図のどの部分が読み取れていなかったかを把握。計算力が不足している人は、数学を頑張りましょう。
過去問を解き終わったら、不足している部分を具体的にメモしてください。「ミトコンドリアの内膜を介したH+の能動/受動輸送を誤って覚えていた」というように、客観的に今の実力を分析し、不足している部分を確実に補う。その繰り返しです。粘り強く取り組みましょう!
今は生物用語の暗記の詰め込みに走る時期ではありません。昨今の入試問題では、「生物用語をどれだけ覚えているのか」ではなく、「生物用語をどれだけ理解しているのか」という能力が求められています。今すぐ、「知識を詰め込む学習」から「考える学習」へと切り替えましょう。教科書に書かれている生物用語に対し、常に「なぜ」を意識した学習をすることで、暗記の負担は大幅に軽減されますよ。
また、これから生物(生物基礎)の勉強を始める学生は、「生物の特徴(生物基礎)」・「遺伝子とそのはたらき(生物基礎)」・「生命現象と物質(生物)」の順に学習してください。右記の単元で学ぶ細胞・代謝・遺伝子は、生物学の土台となる分野であり、これらの内容を今の時点でしっかりと理解しておくことは、今後の学習に多いに役立つはずです。