憧れの大学 第5回広島大学 工学部第二類(電気電子・システム情報系)半導体システムプログラム編part3

憧れの大学 第5回広島大学 工学部第二類(電気電子・システム情報系)半導体システムプログラム編part3
憧れの大学 第5回広島大学 工学部第二類(電気電子・システム情報系)半導体システムプログラム編part3

この記事は、「憧れの大学 第5回広島大学 工学部第二類(電気電子・システム情報系)半導体システムプログラム編part2」の続きです。よろしければそちらも併せてご覧ください。


微生物が半導体を育て環境問題を解決 10歳のときに描いた夢に研究で挑む


 半導体の製造には巨大な製造設備と環境汚染への対応が必要。

そんな「常識」に真っ向から挑むのが、広島大学富永依里子准教授だ。「微生物に半導体を育てさせる」という前代未聞のアプローチにより、環境問題の解決まで視野に入れる研究は、子どもの頃からの宇宙への憧れが原点となった。

「科学好きの少女」がどのようにして半導体研究の最前線に立つに至ったか。その研究と人生に迫った。


微生物が半導体を「育てる」理工×生物の学際研究


 子どもの頃、富永先生は宇宙や地球環境の不思議に心を奪われていた。「図鑑を読んでいて、地球と太陽との距離があと少し違っていただけで、この星には水も生命も生まれなかったという記述に衝撃を受けたんです」。

科学についての読書を重ねるうち、小学4年生の頃から「地球環境問題を解決する仕事に就きたい」と思うようになったという。


 「今の研究も、そのピュアな思いが延長にあります」と笑う富永先生の研究は、「微生物に半導体の結晶を作らせる」という驚きに満ちたアプローチを取っている。


 「半導体の製造には通常、膨大なエネルギーと高温・高真空の環境や時には危険な薬品が必要で、処理に手間がかかる廃棄物を生みます。一方で半導体工場の廃液や、廃棄されるスマートフォンなどには、希少金属(レアメタル)が含まれているにも関わらず、回収コストが高いため、放置されているものが多いのです」


 この問題を解決するヒントを富永先生が見つけたのは、広島大学に着任してすぐ、同じ建物の6階に研究室を持つ、工学部第三類(応用化学・生物工学・化学工学系)生物工学プログラムの岡村好子教授との偶然の出会いがきっかけだった。


 「ある日、岡村先生が『私はレアメタルを回収するバクテリアのコレクションを持っています。いつか半導体分野の人と共同研究がしたいとずっと思っていたんです』と私の研究室を訪ねてくださいました」


 さっそく始めた共同研究は、驚くべき成果をあげている。使用するのは酸素のない環境で生きる嫌気性の微生物(硫酸還元菌・金属還元菌)だ。これらのバクテリアは「呼吸」の際に硫酸イオンや金属イオンを還元する性質を持ち、その過程で硫化物半導体やⅢ-V族半導体といった化合物半導体を体の周囲に形成する。


 「気づいたら試験管の中にピンク色と黄色の層ができていて、電子顕微鏡で調べたら半導体結晶の構成元素が含まれていたんです。常温・常圧の普通の水の中で、しかもバクテリアを遺伝子改変することもなく、半導体材料が自然の力で積層していくことに驚きました」


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