大学での学びの内容を知る①(環境工学・環境科学系)Part2
この記事は「特集 大学での学びの内容を知る①」の続きです。よろしければそちらも併せてご覧ください。
1⃣環境工学・環境科学系の学びの実例~立教大環境学部~
■立教大環境学部での学生の学び
「立教大環境学部は今年2026年の4月に開設されたばかりで、1期生が入学したところです。現在は1年生しかおらず、1年生向けの授業のみが開講されている状況です。
カリキュラム設計上の最大の特徴は、文系・理系両方の学生が集まっていることです。法学部であれば最初から法律の授業がある、工学部であれば科学の授業が並んでいる、という共通点が見えやすいのですが、環境学部の基礎科目には文系的な科目と理系的な科目の両方が入っています。文系で入ったから理系の科目を一切取らない、というのはできない設計で、文系で入っても最低限の理系科目の単位取得が必須です。本当にやりたいことを見つけるために、いったん文理の壁を取っ払って両方味わってみよう、というのが1年目の科目配置の意図です。
3年生からは研究室配属になり自分の専門とした対象を突き詰めていくので、それまでに環境学という非常に広い分野の中で、どこを卒業論文のテーマにするかを絞っていく必要があります。最初の2年はその対象を見つけるため『興味あると思ったものを全部やってみてください』というカリキュラムです。
加えて、1年目の必修授業に『環境リーダーシッププログラム』と『フィールドスタディ』があります。
『環境リーダーシッププログラム』は、立教大全体で展開している『シェアド・リーダーシップ』の環境学部版です。カリスマ性が強く声の大きい人がみんなを引っ張るリーダーシップではなく、それぞれの特徴や強みを生かしながらチームに貢献していくリーダーシップを学ぶプログラムです。5人ほどのチーム編成で、現在の春学期は、立教大総務部からいただいた『池袋キャンパスの環境対策を考えよう』というお題に取り組んでいます。環境学部の学生ならではの視点でキャンパスを見て回り、改善提案を総務部に提出し、良い提案をしたチームが予選・本戦を勝ち抜いていくコンテスト形式の授業です。今はチームビルディングの段階で、自分たちはどんなチームでありたいか、チーム名、チーム内での自分の目標宣言などをA1用紙2枚にまとめ、廊下に張り出しています。クラス編成は、学生の興味や将来の方向性とは無関係に、機械的に行います。どんな人と同じクラスになるか、同じチームになるかわからない中で、与えられたチームの中で自分がどう振る舞えるか、チーム全体をどう盛り上げていいものを作れるかを体感する、という設計です。
『フィールドスタディ』は、全国を9コースに分け、夏休みに環境問題が起きている現場へ学生を連れていく必修授業です。2泊3日や3泊4日で現場の人たちと話しながら、まず現場を見てもらう。福島など、教員や立教大にゆかりのある地域が選ばれています。

このように、教室での座学、グループでのリーダーシップ、フィールドでの現場、これらを行き来することで、高校で理系だろうが文系だろうがいったんシャッフルし、自分が本当に何をやりたいのかを1年目で考えてもらうプログラム構成になっています。理系の多くの学部では『これを取ったら次にこれ、これを取ったらこれ』と履修順が決まっていることが多いのですが、環境学部ではほとんどそれがありません。自分の興味の対象が定まってからもう一度そのテーマに関連する基礎科目を取り直すことも可能で、例えば3年生の段階で『卒論でこういうテーマをやりたいから、そのために必要な知識はこの基礎科目で教えてくれている』と気づいたときに戻れるようにしています。学生にとって自由度は非常に高い設計ですが、やりたいことを見つけるまではどのように学習を進めれば良いか迷ってしまうかもしれません。そこで、教員がそれぞれアドバイザー担当を持って、節目ごとに一人ひとりと面談する時間をとっています。現時点、1年生の5月の段階では『これをやりたい』という学生はまだ少ないのですが、どのあたりに興味が持てそうか、授業の中で迷っていることや困っていることはないかを丁寧に聞いています。1年生の最後、2年生の最後の研究室を選ぶ時期にも一斉面談を実施し、迷ってどうしようもなくなる学生が出ないよう、学部として相当手厚くサポートする体制を整えています。
新設学部ということもあり、ありがたいことにいろいろな団体から『一緒にやれないか』という声かけをたくさんいただいています。我々がやるというよりは、学生と団体をどうつなげるかを今まさにデザインしているところです。2年生以降は環境に関わる行政や企業の方と接する『プロジェクト実習』『ワークエクスペリエンス』のような科目もあり、就職にもつながっていく場面が多い学部になると思います。
教員自身もゼロから作ったカリキュラムを実際に回してみて大変な思いをしているのは事実です。ただ、本来やりたかったことを詰め込んでいるので、教室から現場に連れ出すこと、徹底的なグループワーク、学生が何をやりたいのかを静かに見守ること、これらは新しい環境学のあり方として関係者が思い描いていたものを形にしているつもりです。1期生だけあって個性的な学生が集まっているので、4年経って彼らがどう成長するか、就職する学生、進学する学生、それぞれがどう進んでいくかは楽しみです」












