憧れの大学 人気の秘密に迫る! 第8回 国際基督教大学(ICU)リベラルアーツ英語プログラム(ELA: English for Liberal Arts Program) part4
この記事は「憧れの大学 人気の秘密に迫る! 第8回 国際基督教大学(ICU)リベラルアーツ英語プログラム(ELA: English for Liberal Arts Program) part3」の続きです。よろしければそちらも併せてご覧ください。
ピア・レビューが暴く日本人学生特有のグループ・バイアス
スミス先生のもう一つの専門が認知バイアス研究だ。
「認知バイアスは自分では気づかないから問題になるのです。英語学習だけじゃなく、何でも問題になる」
ELAで頻繁に行われる「ピア・レビュー」は、この認知バイアスへの対策にもなっているという。
「学生が作文を書いて、他の学生と交換してコメントを書き合う。他の人の考え方が目の前に見えるから、自分が書いたこととのギャップに気づく。自分の元の考えをもう一度見直します」
日本人学生に特に見られるのが、グループ・バイアスの強さだ。
「最初の人が何か言うと、他の人がその発言に合わせて微妙に自分の意見を変えてしまうので、多様な意見が出てきにくい」
その対策として、グループでのブレインストーミングの前に、必ず個人でのブレインストーミングを行う。その際、まず書いてみるという手法も有効だという。
「最初に自分の考えを書く。それを1人ずつ発表する。そうすると多様なアイデアが出てきやすい。それに口頭発表だけだと、その場の空気に流されてしまう。でも、書いたものを用意して発言すると、他人の意見に左右されない、自分ならではのユニークな意見になる。普段発言が控えめな学生がすごくいいアイデアを持っていた、ということが意外と多いのです」と学生たちが前向きに授業に取り組む工夫がなされている。
英語と日本語の違いとして、反論する際に、日本語だとその人自身への否定に聞こえてしまいがちだが、英語だとあくまでアイデアに対して反論しているニュアンスが伝わりやすく、スミス先生は「英語を使うことによっ
て、クリティカルシンキングしやすくなるという側面がある」と言う。
学習意欲のサポートで大切にしているのは、教員と学生の「フラットな関係」だ。
「私も勉強しているということを見せる。私にもわからないことがある、という雰囲気を作ると、学生が質問しやすくなります」
加えて、前の回に学んだことを学生が他の学生に教える機会を作る。
「二〜三回繰り返すと、私が後ろに座って、学生が前で教えている雰囲気になる。教えることで自信がつくし、褒められることでやる気が出るのです」
変化に対応しながら「守るべきもの」を守り続ける
1992年に来日して以来、日本の英語教育は着実に変化してきたとスミス先生は感じている。
「文法中心で先生が前に立って話すスタイルがほとんどでしたが、今はコミュニケーション重視で先生たちが頑張っている」
一方で、高校では入試という制約が残り、小中学校での学びが受験で十分に活かされていない面もあるという。生きた英語を学ぶために、「自分の趣味と英語をマッチングすること。好きなものと英語をマッチングすると、楽しみながら勉強できます」
ELAの今後については、渡邊(金)先生が「変化させていく」と語ったのに対し、スミス先生は「大切なものを守る」と表現する。「でも、二人とも同じことを言っていると思います。世の中の変化に対応しながら、ELAの根幹にあるものを守っていくことが大切」。ICUから巣立つ学生たちへの願いも明快だ。「いろんな可能性を考えてほしい。いろんな冒険に出てほしい。英語に自信を持って、自分のことを信じて、いろんな方向に挑戦してほしいですね」












