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大学入試の基礎知識②

大学入試の基礎知識②
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大学の置かれた状況


⑵デジタル人材育成と23区規制の緩和


 2018年5月には東京23区の大学の定員増を原則10年間禁じる地域大学振興法が成立し、2028年3月末までの10年間は定員の増加が禁じられた。また、定員を増やせないことにより、新しい学部・学科の設立も困難となっていたが、今年2月に政府は、デジタル系の学部・学科に限り2024年度から定員増を認める方針を固めた。


 日本はデジタル分野の人材不足が指摘されており、政府は2030年に先端IT人材は55万人ほど足りなくなると予測している(経済産業省委託事業「IT人材需給に関する調査(みずほ情報総研株式会社)」2019年3月)。文部科学省では、3000億円の基金を活用して、大学による「デジタル」「グリーン」等の特定成長分野の学部設置等を継続的に支援する事業の案を公表した。理・工・農の3分野を対象に、最長10年間、20億円程度までの支援を予定しており、「デジタル」「グリーン」等の特定成長分野に関連する学部・学科の増加が予想されている。


⑶今後の行方


 日本私立学校振興・共済事業団の調査では、定員割れとなった私立大学の割合は、2008年の47.1%がピークであったが、2017年以降徐々に減少し、2020年には31.0%となっていた。しかし2021年度から新型コロナウイルスの影響もあって再び上昇し、2022年は47.5%と過去最高になった(グラフ2)。


 入学定員充足率の地域別の推移をみると、2016年度から2020年度にかけて、大都市圏への集中はある程度緩和されている。2021年度は新型コロナウイルスの影響により、地域を問わず、全体的に下降したが、2022年度は上昇に転じた地域もある(表2)。


 また、私立大学は入学辞退者が出ることを見越して合格者を多めに出していた が、2018年度以降は入学者数が入学定員の1.10倍を超過しないよう合格者数を減少させている(収容定員8,000人以上の大学の場合)。


 現在、私立大学の47.5%が定員割れをしており、こうした状態が続くと、大学の主な収入源である授業料収入が減少してしまい、大学の経営が立ち行かなくなってしまう場合も出てくる。最悪の場合、学生募集停止から大学の閉鎖(廃校)という事態になりかねない。2022年12月の学校基本調査では、大学の数は807校で過去最高となっているが、18歳人口の減少は今後も継続するので、大学の淘汰は避けられないだろう。

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「学力の3要素」に続く...
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