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世界の”アート”になった日本の漫画 言葉を磨き、個性を見抜く漫画編集者③

世界の”アート”になった日本の漫画 言葉を磨き、個性を見抜く漫画編集者③
世界の”アート”になった日本の漫画 言葉を磨き、個性を見抜く漫画編集者③

研究やビジネスの最前線を走る“現代の偉人”を講師に迎える「トップリーダーと学ぶワークショップ」。今回は『週刊少年ジャンプ』で伝説の漫画編集者と呼ばれ、2000年に集英社から独立して、漫画の編集・漫画雑誌の出版を目的としたコアミックスを設立した堀江信彦先生をお招きした。「漫画の未来と可能性」をテーマに、漫画創作における編集者の役割と言葉の大切さについて講演いただいた。



対等な漫画家と編集者 “良い作品”だけでは売れない

 なぜ日本で漫画がビッグビジネスに発展したのか。そのカギを握っているのが、実は漫画編集者なのです。

 編集者というと、どんなイメージを持っているでしょうか。漫画家の先生のところに原稿を取りに行き「先生、早く描いてくださいよ」などと言って徹夜で待ち、ただ原稿を運んでいる。

 そんな編集者がいたら失格です。編集者が何よりもやるべき仕事は、担当する作家を理解すること。どのような考えを持ち、何を好んでいて、どんな癖を持っているのか。相手を理解できていれば、吹き出しのセリフを読んで「この言葉で表現したい本当の意味は、こういう内容だな」とわかる。漫画家の思いを一般の人向けに伝わりやすい言葉に翻訳できるから「先生、この言い方だと、先生をよく知っている私なら理解できるけれど、多くの人にわかってもらうためには違う言葉のほうがいいですよ」と的確にアドバイスできて作家も納得する。

 このように作家と対話しながら、作品を、特に言葉を磨き上げていく。これが編集者の担っている役割です。だから何よりもまず手間と時間をかけて、漫画家を理解しなければなりません。

 私が担当していた『北斗の拳』の原哲夫さんの場合なら、『北斗の拳』の前にモトクロスの話を描いていました。これが最初は受けなかったけれども、少しずつ人気が出てきた。編集長から「もっと続けてもいいぞ」と言われたが、私は原さんに相談せずに「予定どおりに終了させてください」と申し出ました。なぜなら、原さんの個性や感覚を理解していた私はこんなもんじゃない、もっとすごい漫画を描ける人だと確信していたからです。そして生まれたのが『北斗の拳』でした。

 単に良い作品ではだめなのです。良いだけではなく、時代に受け入れられる優れた作品でなければならない。その空気感をいかに取り込めるか。これは至難の業であり、だからこそ漫画づくりにはチームプレイが求められる。編集者、アイデアマン、データを扱う人、そして漫画家からなるチームであり、そのまとめ役が編集者です。

 漫画編集者が職業として存在しているのは、日本だけです。優秀な編集者は、いろいろな漫画家とチームを組んで何本もヒット作を創り出す。そんな編集者に求められるのは、絵を描く能力ではなく、言葉を研ぎ澄ます力です。だから漫画の世界では、漫画家を育てるのはもちろんだけれど、優秀な編集者を育て続けるのも極めて重要な仕事なのです。

 未来の漫画家や編集者を育てる一環として、熊本県立高森高校の「漫画関連学科」新設による高校魅力化プロジェクトに参加して、実践しています(資料3)。自治体と協力関係を結び、公立高校では日本初となる「マンガ学科」を新設しました。漫画出版社が持つ人間形成力を含めた実践的なノウハウを高校生たちに教えることで、熊本から世界に通用するクリエイターを生み出す活動を行っています。




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