


憧れの職業を追え! 小3で芽生えた宇宙への関心が現在の仕事に導いた 人類のフロンティア 宇宙を舞台に働く喜び①
(2023.08.24)


準天頂衛星システム『みちびき』が16万箇所のため池を測位 宇宙空間から人びとの安全な暮らしを見守る
地上で暮らす私たちの目には見えない人工衛星はカーナビに使われる位置情報や気象情報など、暮らしに役立つサービスの提供に使われている。人工衛星は複雑なシステムであることから、現在手掛ける企業は限られている。そのうちの1社、三菱電機株式会社の先端技術総合研究所に勤める小西麻緒さんが、幼い頃から抱いていた天体への興味関心をエネルギーにして、新たな宇宙技術の開発に挑んでいる。
「現在、私が担当する業務のひとつが準天頂衛星システム『みちびき』を利用したサービスの開発です。
『みちびき』は日本を中心としたアジア・オセアニア地域での利用について特化したシステムであり、『みちびき』から配信されるセンチメータ級測位補強サービスを利用することで高精度な測位を実現できます」
三菱電機は、内閣府から受注した『みちびき』の衛星システムの設計・製造を担当している。『みちびき』は現在4機体制にて運用されており、これまでに、土木工事の精密な測量、水上タクシーの自律運行、スマート農業、建設機械の自動運転などに活用されてきた。新たな用途として三菱電機が開発を進めるのが、「みなモニター」と名付けられた「ため池の水位を衛星で監視するサービス」である。
「日本には16万箇所ものため池があり、農業用水として活用されています。しかし最近、豪雨で決壊して水害をもたらすことが増え、大雨の危険の中で人が点検に行かずとも、状況を確認できる仕組みが求められていました」
そこで考案されたのが、ため池にブイを浮かべ、『みちびき』などから受信した信号を用いてため池の水位を測定し、管理者のスマートフォンに通知するシステムだ。小西さんは今、衛星から配信されたデータから正確に位置情報を割り出すアルゴリズムを開発する。「自分の仕事が、人々の安心安全につながることにやりがいを感じます」という小西さんは、宇宙というテーマにどのように出会ったのだろうか。