


憧れの職業を追え!航空業界(日本航空株式会社)②


本記事は「憧れの職業を追え!航空業界(日本航空株式会社)①」の続きの内容です。
こちらも併せてご覧ください。
アメフト部で戦略担当を経験 JALでもアナリストに
大学では、強豪として知られるアメリカンフットボール部に加入。チームスポーツを経験してみたかったこと、当時、女子がプレーする部活に強いところがなかったことで入部を決めた。アメフト部では、アナライジングスタッフという戦略担当を務めた。アメフトには複雑な戦略があり、チーム状況と相手チームの分析をしたうえで、勝つための作戦を考えるのがアナライジングスタッフの役割だ。
戦略担当の仕事は練習と試合の前後に集中しているため、朝から晩までやることが尽きない。4年間、どっぷりと部活中心の生活に浸った。現在は4年で卒業する部員も多いというが、抽冬さんは夢中になりすぎるあまり、1年卒業を延ばした。その分、就職活動は、学生生活を後悔なくやり切ったという充実感とともに始めることができた。この時も「いろいろな人に会いたい」という思いがあり、その一つが航空業界だった。
「バンコクに住んでいたとき、よく飛行機を利用していたこともあって、エアラインへの関心はずっと頭の片隅にありました。エアライン事業ってビジネスとしてどう回ってるんだろうという純粋な興味もありましたね」
複数の航空会社を受けるなか、JALに入社を決めた要因は、「人」だった。「就職活動中、JALの担当者は肩書など表面的な部分を評価するのではなくて、中身を見ようとしてくれていると感じたんです。一緒に仕事をするなら、こういう人たちがいいなと思いました」JALの新入社員には多様なキャリアパスが用意されている。2018年に入社した抽冬さんはグループ会社に出向し、羽田空港で空港サービスを提供する業務に就いた。そのオペレーションは膨大なうえに、お客さまからは日々さまざまな質問が寄せられる。それらに答えられるように業務の要点、大切なこと、気づいたことなどをまとめた手帳は、細かな文字でいっぱいになった。二年後、国内路線事業部・地方路線グループに配属され、フライトアナリストに。ここは、どういう仕事をする部署なのだろう?
「飛行機をできる限り満席に近づけて、一機あたりの収益を最大化するのが仕事です。システムも使いながら過去のデータを分析して、運賃や便数をどうコントロールしたら収益が最大化するのかを考えます」入社してからずっと「早く航空ビジネスに携わりたい」と願っていた抽冬さんにとって、まさに「一丁目一番地」の部署だった。
ここで京大アメフト部での経験が、実際の仕事に役に立ったそうだ。「扱うデータの量がまるで違いますし、仕事はまったく別物です。でも、傾向を見極めるために数字と睨めっこする我慢強さは、アメフト部で培われたと思います」しかし、時を同じくして新型コロナウイルスのパンデミックが起こり、世界的に厳しい移動の制限が始まって、航空業界は大打撃を受けた。その渦中は、減便対応をしながらも飛行機での移動を必要とするお客さまのご要望にもお応えするという一筋縄ではいかない業務だった。一方で、それは現場との「つながり」を実感する時間だったと振り返る。
「フライトアナリストとして仕事をする中で、初期配属で空港カウンターで一緒に働いていた仲間のことを思い出しました。お客さまと対面する空港やコールセンターのスタッフ は、直接お客さまからのご意見をいただくこともあったと思いますし、大変だったと思います。現場も私たちのようなアナリストもチーム一丸となって飛行機を飛ばしているのだと改めて感じましたね」