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就職からみた大学選び③ 大学院修了後の進路

就職からみた大学選び③ 大学院修了後の進路
就職からみた大学選び③ 大学院修了後の進路

この記事は「就職からみた大学選び② 大学院進学率と大学院選択のポイント」の続きの内容です。こちらも併せてご覧ください。


(1)大学院修了者の就職率


 表5は、2022年3月における大学院の専攻別・状況別の修了者とその割合を示したものである。また、グラフ2、グラフ3は、それぞれ修士課程修了者と博士課程修了者の進路を示したものである。以下、雇用期間を限定しない常勤職である「無期雇用労働者」について、数字をピックアップしてみよう。


 以上から、博士課程を修了した者のうち、約半数が常勤や正規雇用の研究者・教員・会社員・労働者になることなく、契約期間・労働時間を限定された非常勤の研究者・教員・会社員・労働者となっていることがわかる。

 不安ばかりを煽る必要はないので追記しておくと、修了してすぐに正規雇用とはならなくとも、期間を置いてから大学・研究機関・企業・法人に正規雇用となる場合もある。また、急速な技術革新の進む中、より高い専門性を有した博士人材の重要性は高まっているといえよう。




(2)大学院修了後のキャリア


 大学院修了後の進路は、大きく分けて次の4つが挙げられる。それぞれについて、最後に整理・補足をしておきたい。

①企業・団体・自治体等への就職

 すでに述べたとおり、理系の研究開発職は修士以上の学歴が必須となる場合がほとんどである。研究テーマはもちろん、取り組んできた姿勢(豊富な実験経験など)も評価の重要な対象となる。理系の博士は研究内容が評価された場合は修士より有利だが、修士以上の専門性は企業に入ってから高めれば十分と考える企業も少なくない。また、文系分野は採用時に修士以上を必須としている職種は限られている。


②大学の常勤教員として勤務し、研究を継続

 博士課程の学生のおよそ2人に1人は、大学に勤務して研究を継続することを希望している。しかしながら、博士課程修了時に大学の常勤職に採用されることは極めてまれで、やむを得ず非常勤職に就いたり一時的に企業に就職したりする者が少なくない。

 また、近年は博士研究員(ポストドクター)となり、研究を続けながら大学職員として採用される機会を待つ者も多い。

 また、2011年からは文部科学省が「テニュアトラック」の普及・定着事業を進めている。テニュア(tenure)とは研究者の終身雇用が保障される制度であり、現在アメリカやカナダなどで普及している。テニュアトラックとは、テニュアの取得を目指すコースを指す。博士号取得後10年以内の若手研究者を対象として、5年の任期付きで教員として採用し、自立した研究者としての経験を積めるようにするのが狙いだ。任期終了後のテニュア審査を通過すれば、テニュアポスト(安定的な職)が用意されている。


③博士研究員(ポストドクター)となる

 「博士研究員(ポストドクター)」いわゆる「ポスドク」は、大学院生と大学常勤職の間に位置づけられるキャリアパスで、主に独立行政法人日本学術振興会などが募集を行っている。日本学術振興会の場合、審査を経てポスドクに選ばれると「特別研究員-PD」という身分となり、2024年度採用者の場合は3年の期限付きで月額36.2万円の研究奨励金とともに申請に応じて特別研究員奨励費が支給される。

 なおポストドクターではないが、博士課程在学中にも「特別研究員-DC1」(主に博士課程後期1年生が対象。研究奨励金月額20万円・特別研究員奨励費最大240万円以内)「特別研究員-DC2」(主に博士課程後期2年生が対象。研究奨励金はDC1と同じ、特別研究員奨励費は最大160万円以内)という制度があり、それぞれ採用の時期や奨励金・研究予算の支給額が異なる。

 また、「特別研究員-PD」に申請した者の中で研究内容が特に優れ、博士号を取得した大学院以外での研究に従事する予定の者は「特別研究員-SPD」となり、奨励金・研究予算が増額される(奨励金月額44.6万円、研究費年間300万円以内)。ただし、2023年10月現在では新規採用は行われていない。

2023年度に採用された特別研究員の数は、PDは申請人数が1,565人で、採用人数は347人、DC2は申請人数が5,860人で採用人数は1,086人、DC1は申請人数が3,991人で採用人数は691人であった。

 なお、近年、大学の研究職ポストが限られているにもかかわらず、ポスドクが「大学の研究者」を目指すキャリアパスとして固定化されている点が問題視されている。文部科学省が推進する「ポストドクターの人材育成・キャリア開発事業」では、ポスドクの高い専門性と産業界のニーズとのマッチングを行い、イノベーション創出や新事業展開を行っていく取組みが必要と提言され、これを受けて大学院では長期インターンシップなどを通して産業界とのマッチングに取り組み始めている。



④資格試験に合格し、専門職を得る(専門職大学院の場合)

 代表的な専門職大学院として法科大学院がある。司法試験の受験資格を得るためには、原則として法科大学院を修了しなければならない。法科大学院は司法制度の改革に伴い、2004年以降、全国の国立・私立大学を中心に設置された。

 しかし、新司法試験の開始前は「修了者の7割程度が合格する」と見込まれていたにもかかわらず、実際の合格率はそれを大幅に下回った。2023年は受験者3,928人中、1,781人が合格し、最終合格率は45.3%であった。



 なお、司法試験は原則として法科大学院を修了しなければ受験することができないが、例外として、経済的な理由などで法科大学院に通うことができない者などのために「予備試験」という制度がある。この予備試験に合格すれば、法科大学院を修了した者と同等の能力があるとみなされ、司法試験を受験することができる。

 この予備試験の受験資格には学歴や年齢などの制限はなく、誰でも受験することができる。したがって、予備試験に合格すれば法科大学院に入らなくても司法試験の受験は可能である。2023年司法試験の予備試験最終合格者数は327人であった。

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