


知のフロンティア研究最前線 京都大学山下真由子先生②
(2024.01.18)


本記事は知のフロンティア研究最前線 京都大学山下真由子先生①の続きの内容です。こちらも併せてご覧ください。
“数学に助けられている”日々強まる思い
数学オリンピックでは銀メダルを受賞、今、研究者として国際的な賞の受賞も続くが、自信のない性格に変わりはなく、迷いの連続だと語る。しかし、「数学に助けられている」という思いは日々強まっている。
「数学は基本的には一人で考える時間が多いので、ずっと一人で考えていると"井の中の蛙"になりがちです。しかし今は、数学を介して物理学をはじめとする異なる分野の研究者と共に考えることで、新しい視点をもらうことがよくあります」
数学の研究は、社会の発展にどのようにつながるのだろうか。「知的好奇心というのは人間の基本的欲求であり、私を含めた多くの数学者はそれを追求し、純粋な学問的興味から研究を行っているはずです。それらはすぐには役に立たないことが多いです。ただ、数十年・数百年後に私たちが現在思いもつかない形、まだ姿も名前もない何かで応用されるかもしれません」
幼い頃に数独やパズルを楽しんでいた同じような気持ちで、今も数学に取り組んでいる山下先生は、「高校生の皆さんも受験勉強の枠を超えて、自分の興味のあることを追求してほしい」とメッセージを送る。「私も日々迷いながらわからないことに立ち向かっているという点では、皆さんと一緒だと思っています」