


社会を変えるデータサイエンス①


東北大学ではいち早く2019年に「データ駆動科学・AI教育研究センター」を設立し、数理・データサイエンス分野のプログラムを提供してきました。全学部の新入生を対象として「AIMD(AI・Math・Data Science)」の基礎教育に力を入れる狙いと、これまでの成果についてセンター長を務める早川美徳先生と1年生の講義を担当する小泉英介先生に伺いました。
文理を問わず全学生が「AIMD」を学ぶ
本学では文系・理系合わせて約2500名の1年生全員が、AI、数理、データサイエンスをリベラルアーツ教育の一環として学びます。なぜなら私たちは「AIMD」を、これからの時代の基本的なリテラシーとして重視しているためです。1年生全員が、AIMDの基礎となる「情報とデータの基礎」を履修し、ほかにも情報、統計、数学の基礎からそれぞれ1科目以上の履修が推奨されています。
AIMD教育全体については、ピラミッド状の階層的な構成を考えていて、入口となるリテラシーレベルから希望に応じてどんどんステップアップが可能です。最終的には研究者やデータサイエンティストとして活躍できるトップリーダーを育成するプログラムまでが組まれています。
数理データサイエンスはこれからの共通言語
AIMD教育には、理系文系を問わず全教員が協力しています。経済学部では経済統計学や経営学、文学部でも行動科学や心理学などにデータサイエンスが取り入れられており、数理データサイエンスの重要性は、全学的な共通認識となっています。講義のプログラム作成に関しては、さまざまな専門分野の教員からデータや教材の提供を受けて、リアルな講義に加えて動画も活用するオンデマンド・オンライン講義も実施しています。
データサイエンスやAI、数理などはこれからあらゆる学問領域をつなぐ共通言語の役割を担っていきます。異分野間の交流を促進するAIMDの学びは、これから専門人材として社会で活躍するための素養として必須と考えています。
AIMDを基礎として各分野でリーダーとなる
AIMDで基礎を学んだ学生の中で、さらに学びを深めたい意欲的な学生に対しては「挑創(ちょうそう)カレッジ」コンピュテーショナル・データサイエンス(CDS)プログラムが用意されています。AIMDと同じく全学部生を対象とするプログラムであり、履修者に対しては学習の成果を目に見える形にするための資格取得もサポートしています。具体的には民間のAI資格認定(日本ディープラーニング協会「G検定」と「E資格」)取得に向けた学修支援を行っています。その狙いは、学業に限らずさまざまな領域でデータサイエンスを活用し、社会でリーダー的な存在となる人材を育てることにあります。
2020年度の入学生からは、全員がパソコンを持ってキャンパスに来るようになりました。こうしたデジタルツールの活用とデータサイエンスやAIの活用は、車の両輪のような関係です。授業でもパソコンの活用を前提としたカリキュラムが組まれており、1年生はプログラミングの演習も必修、データ解析や分析のために自分でプログラムを組めるレベルを目指しています。
データサイエンスを身につけた専門人材となる
高校でも「情報Ⅰ」が必履修科目となり、2025年1月から共通テストにおいてもプログラミングを含む「情報」が出題されます。高校での学びのレベルアップに合わせて、私たちのプログラムも更新しています。データサイエンスは、これからの社会で活躍するための基礎学力です。AIMD基礎の講義は宮城県内に限定されますが、高大連携により高校生でも受講可能です。
高校生の皆さんにはぜひ、将来自分が興味を持てる分野で活躍できる人材になっていただきたいと思います。東北大学には、皆さんの好奇心を深めてくれる多様な教員がいます。私たちもデータサイエンスやAIの分野から、皆さんをサポートしています。
