


特集 受験費用・学費・奨学金の基礎知識②


本記事は特集 受験費用・学費・奨学金の基礎知識①の続きの内容です。こちらも併せてご覧ください。
⑵大学入学までにかかる費用
大学に合格した後は、入学手続に進む。多くの場合は、ここで入学金(入学料)を納入する必要がある。特に、国公立大学と私立大学を併願する場合など注意しなければならないのは、第2志望の入学手続の締め切りが、第1志望の入試や合格発表よりも前に設定されている場合である。この場合、第1志望の大学に合格し第2志望の大学に入学しなくなったとしても入学金は返還されないので、ぜひ覚えておいてほしい。
授業料は春と秋の2回に分けて納入するのが一般的である。初年度の春学期分については、入学金と同時振り込みとしている大学も多い。国立大学の学費は、2004年度から国直轄の運営から法人化したことによって、表3のように定められた標準額の120%を超えない範囲で、各大学が入学金や授業料を設定できることになっている。
その結果、東京医科歯科大が2020年度以降値上げし、2024年度4月現在では計6大学(千葉大、東京医科歯科大、東京藝術大、東京工業大、東京農工大、一橋大)が授業料値上げとなったが、その他の国立大学は標準額と同額に設定している(大学院は標準額と異なる場合もある)。また、国立大学の授業料は、学部によらず同額である。
公立大学の授業料は概ね国立大学に準ずるが、入学金については大学を設置する地方公共団体(自治体)の出身かどうかで差をつけているところが多い。例えば、名古屋市立大の場合は、名古屋市の住民であれば入学金は232,000円であるが、それ以外の者の入学金は332,000円となっている。大学によって減免の条件は異なるが、学費の面で地元出身者を優遇している場合が多い。
なお、東京都立大の場合、東京都の住民であれば入学金は141,000円で、それ以外の者の入学金は282,000円であるが、2024年度から新入生及び在学生を対象として、学生の生計維持者が都内在住の場合、所得制限なしで授業料を全額免除する支援制度を開始した。また、大阪公立大も2024年度から、2026年度までに段階的に所得制限を撤廃する授業料等の完全無償化制度を導入した。
私立大学では、同じ大学でも学部系統によって学費が異なる。私立大学の初年度納付金は表3のように、「文科系」は約119万円で国立大学の約1.5倍、「理科系」では約153万円で国立大学の約1.9倍、「医歯系」では約482万円で国立大学の約5.9倍となっている。

なお、入学金や授業料等のほかに、履修する授業ごとに教科書などの教材を購入する必要がある。新型コロナウイルス感染拡大に伴う遠隔授業導入をきっかけに、大学の講義においてオンライン化が一気に進んだ。ノートパソコンを無償貸与する学校もあるが、各自購入の場合が多いだろう。また、看護学部等の医療系学部では実習費用、ユニフォーム代が別途必要となる場合もあるので、事前に確認しておこう。
大学進学を機に一人暮らしを始める場合は、これに加え、賃貸物件の敷金礼金や不動産店への手数料、引越し業者への支払いや、新生活に必要な家財道具も必要となる。大学入学が決定してから短い期間に多くの費用がかかることになる。合格してから慌てなくてもよいように、今のうちから、それぞれの出費のタイミングと金額のシミュレーションをしておこう。