


特集 受験費用・学費・奨学金の基礎知識④


本記事は特集 受験費用・学費・奨学金の基礎知識③の続きの内容です。こちらも併せてご覧ください。
2奨学金
奨学金とは、経済的理由から修学困難な優れた学生等に、教育の機会均等及び、人材育成の観点から支援を行うもので、「貸与」または「給付」する制度である。日本学生支援機構(以下、JASSO)の調べによると、2020年度には大学に進学した学生の2人に1人が何らかの形で奨学金を利用している。奨学金はJASSOが行っているものが代表的であり、まずはJASSOの奨学金について説明していくが、そのほかにも各大学や地方自治体、交通遺児育英会などの団体などが独自に行っているものもある。
⑴給付型奨学金
前述したように、奨学金として受け取れるお金には大きく分けて「給付型」と「貸与型」がある。給付型は原則として返す必要のない奨学金で、卒業後に返還に追われる心配はないが、募集人員は少なく、家庭の経済状況や高校での学業成績などの条件が厳しい。しかし2020年4月から「高等教育の修学支援新制度」がスタートしており、「授業料等減免」と「給付型奨学金」の対象が拡大したことにより、2019年度には36,577人だった給付人員が、2020年度には276,870人にまで増加、2021年度には321,833人にまで達している。
参考:https://www.mext.go.jp/kyufu/student/koukou.html
「高等教育の修学支援新制度」では
・ 世帯収入や資産の要件を満たしていること(住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯)
・ 進学先で学ぶ意欲がある学生であること(成績だけで判断せず、レポートなどで学ぶ意欲を確認)
の2つが対象となった。さらに2024年度からは、多子世帯や理工農系の学生については、年収600万円世帯までの中間所得層も対象に加えられることが決まっている。
対象になると、授業料と入学金の免除・減額を受けることができるほか、生活費として給付型奨学金が支給される。支給額は世帯収入や通う大学が国公立大学か私立大学かによって変動し、自宅通学か自宅外通学(寮や下宿)によっても変化する。
表6・7には制度の概要を、表8には、2025年4月から支援を受ける場合のスケジュールをまとめた。まずはJASSOや文部科学省のホームページで確認してみよう。自分がこれらの制度の対象となっているかは、JASSO「進学資金シミュレーター」を使って確認することができる。これはJASSOのホームページから直接行うか、スマートフォンアプリから利用できる。



給付型奨学金の支給対象となるには、家計基準に加えて学力の基準をクリアする必要がある。基本的な基準は「高等学校等における全履修科目の評定平均値が、5 段階評価で3.5以上であること」であるが、この基準を満たさない場合でも「将来、社会で自立し、及び活躍する目標をもって、進学しようとする大学等における学修意欲を有すること」が認められれば支給対象となることができる。
なお、「高等教育の修学支援新制度」の支給対象となった場合、大学に入学後も一定以上の成績を収め続けることが求められており、やむを得ない事情なしに修業年限( 通常4年)での卒業ができないことが確定したり、出席率が5割以下になるなどの場合は、奨学金の支給が打ち切られることがある。

参考:https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/1421838.htm
2024年5月1日時点で確認が取れている大学は、国立大学82校、公立大学99校、私立大学597校(短大を除く)である。「高等教育の修学支援新制度」の利用を考えている人は、志望大学が対象となっているのかを確認しておきたい。
また、大学によっては独自の授業料減免制度を持っている場合がある。これは現金を受け取る奨学金と異なり、大学の入学金や授業料等の一部もしくは全部の支払いを免除するものである。