未来を拓く人材育成名古屋大学①
(2024.07.04)
名古屋大学は1939年、最後の帝国大学として設立された。設立当初、全国から新進気鋭の研究者が集まり、好奇心に基づいて自由かつ自律的に学ぶ自由闊達な学風が培われてきた。その伝統をベースに「近年は視線を世界に向ける仕組みづくりにも力を入れている」と杉山直総長は語る。
日本から世界に翔び立て
名古屋大学では「自由闊達」をモットーとしています。これを象徴するのが教授の呼び方で、ノーベル賞の伝統のある理学部物理学科では「先生」ではなく「さん」づけで呼びます。教授と学生は研究の前では対等、だから自由に議論をして、思うように研究していい。といっても学生をただ放任するのではなく、必要なときには適切なアドバイスを送り、若い研究者の力を伸ばしてきました。
そんな学風の中で、基礎科学分野では物質の起源の解明や緑色蛍光タンパク質の発見、応用科学分野では選択的な化学合成や青色LEDの発明など合わせて6名のノーベル賞受賞者を輩出しています。好奇心に基づき好きな研究に打ち込む、あるいは社会課題を解決したい強い思いで研究に突き進む。いずれも思う存分に挑戦できるのが本学の特長です。
ここ数年は、日本から世界に飛び出す人材育成にも力を入れています。米・ノースカロライナ州立大学、シンガポール国立大学、独・フライブルク大学、英・エディンバラ大学という四つの戦略的パートナー大学と提携し、4年間の大学在学中に、学生の希望やニーズに応じて柔軟に現地の名古屋大学キャンパスで学ぶことができるグローバル・マルチキャンパス構想を進めています。
グローバル化の進む社会で活躍するためには、世界標準を肌感覚で身につけておく必要があります。また世界に出ると、日本の良いところも悪いところも見えてきます。だから、まず世界に目を向けてほしいのです。
もはや日本に閉じこもっていては、世界と勝負する土俵にさえ立てない時代です。一方で、英語だけで学ぶプログラムである国際プログラム群を設置することで海外の学生を積極的に受け入れ、留学生と日本人学生との共修にも取り組んでいます。