


トップ企業役員に聞く!社会課題を解決に導くDXの取り組みの今①


トップ企業役員に聞く!社会課題を解決に導くDXの取り組みの今
第1回 ソフトバンク
ソフトバンクは携帯電話サービスを提供する通信事業者で、成長戦略「Beyond Carrier」のもと、通信事業者の枠を超え、情報・テクノロジー領域などさまざまな分野で新規事業を展開している。同社のデジタルトランスフォーメーション本部は、デジタル技術を活用した 新規事業を創出し、日本の社会課題の解決を目指している
DXとは
DXとは、デジタル技術を活用して、産業・企業や組織の事業やサービスを変革することです。デジタルデータを活用したり、人工知能を駆使することによって、効率アップや新たな価値づくりを目指します。これからの社会では、DXへの取り組みが企業の競争力を左右するといわれています。
使った水をその場で再生循環「WOTAの小さな水インフラ」
私たちが暮らす日本は、世界各国と比べてもとても恵まれた環境にあります。しかし、自然災害や医療費増大、労働人口の減少など課題も山積しています。そんな日本の抱える社会問題を解決し、次代の新規事業を創出するのが、ソフトバンクのデジタルトランスフォーメーション本部です。例えば、私たちの生活に欠かせないインフラの一つが水道ですが、日本においては人口減少により水需要が減少する一方で、上下水道インフラの老朽化が進行し、施設の維持、更新が困難になりつつあるなど解決すべき問題が多くあります。そこでソフトバンクは、独自の水処理自律制御技術を開発するスタートアップ企業WOTA社と資本業務提携を行いました。WOTA社が開発する「住宅向け小規模分散型水循環システム」は、住宅から出る全生活排水を100%近く再生循環させることで、戸建てごとに水を何度も繰り返し安全に使うことができる仕組みです。浄水や下水処理機能を集約することで、既存の水道に依存しない新しい水インフラの仕組みの実現を目指しています。
この技術を使いシャワーとして利用できる「WOTABOX」は、地震で水インフラが壊滅的な状況になった能登半島地震の避難所に約100台設置され、日々多くの方々に入浴の機会を提供することを続けています(24年5月現在)。

データ連携で進化 オフィスビルの省エネ
また、地球温暖化対策などのさまざまな社会課題に対峙するために、情報発信やデータを利活用する「スマートビル」にも取り組んでいます。2050年には1850年と比べて気温が1・9度上昇、海面は現在を基準に40㎝上昇、熱波に苦しむ人口は現在を基準に18億人増えると予想されています。日本では「2050年 カーボンニュートラル」を宣言、2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにすることを掲げています。このような状況で、日本の企業も脱炭素に向けて対応が求められているのです。CO2排出量削減の余地のあるオフィスビルこそ、まず「脱炭素化」すべきでしょう。