


大学での学びの内容を知る(理学系)④


■立教大理学部における学び、卒業後の進路

山田准教授のもとで研究を行う学生は、どのようなものを対象として研究を行っているのだろうか。
「私自身がロケットに搭載する観測機器の開発から本番運用のための試験、打ち上げ後の衛星のケアおよび観測されたデータの解析といった、衛星を使いX線を観測・分析する一連の工程すべてに携わっているため、学生の皆さんも大規模プロジェクトのライフサイクルに合わせて、その時々で可能な研究を行うことが多いです。例えばこれまでに紹介したXRISM衛星打ち上げまでの期間は観測機器の開発やつくばにある熱真空実験場での地上実験などを研究室の学生と共同で行いました。
現在研究室に所属する学生の中には、XRISM衛星から送られてきたデータの分析を行っている人もいますし、今後衛星に搭載できるような、より良い観測装置の開発を目指してセンサーの改良研究を行っている学生もいます。
卒業後は宇宙研究の道に進む学生も多いですし、あるいは宇宙関連企業に就職する形で引き続き宇宙開発に携わっていくパターンも多いです」
■立教大理学部を目指す高校生へのメッセージ
立教大理学部を目指す高校生は何を心がけると良いだろうか。山田准教授に聞いてみた。
「受験勉強は大変なことも多いですが、『頑張る』という体験ができる場でもありますので、強い言葉にはなりますけど頑張ってほしいですね。ロケットの打ち上げはどれだけ万全の体制を整えたつもりでも、どうしても失敗がつきものになってきます。そして失敗すると、ああしておけば良かったとか、いろいろなことも言われますし、自分自身でもこうしておけばよかったと後悔することも多いです。それに、特に大規模なプロジェクトでは一度工程が進んでしまうと、そのあとにもっといい方法を思いついたとしても手戻りはできないことがほとんどです。成功よりも失敗の方が多いし、やり残したこともある中で、それでも宇宙開発に関する研究を続けていくためには、ふさわしい技術を身につけていることも大事です。しかし、精神論にはなりますが、耐えられるとかやり抜くといったような、モチベーションを保ち続ける能力が必要になってくるので、受験勉強をそういった修業の場と思って乗り越えていってほしいです」