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大学での学びの内容を知る(医用工学系)③

大学での学びの内容を知る(医用工学系)③
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本記事は大学での学びの内容を知る(医用工学系)②の続きの記事です。こちらも併せてご覧ください


医用工学系の学びの実例②~神戸大医学部医療創成工学科~

 神戸大医学部医療創成工学科は「医療機器開発に通じた創造的開発人材を養成」することを目的として、2025年4月に開設予定の学科である。

 医療創成工学科では、医学的知識および工学やものづくりの基礎を学んだ上で、社会や医療現場のニーズに対して最も適切な医療機器やヘルスケア機器を創出する能力を養うため、医学・工学・医療機器学の基礎から、社会実装(医療機器の事業化)までの医療機器開発に必要となる能力を養成するカリキュラムが用意されており、学生は医療機器開発に関する知識を基盤として、自分の興味に合わせて強みを伸ばすことができる。また、開発を行い新しいものを生み出すために必要となる思考のプロセスを習得するため、初年次より創造的思考や批判的思考を身につける科目が用意されている。さらに、医学部に設置される学科ならではの特徴として、医療現場での実習に取り組むこととなっており、実際の医療現場を観察し、医師や他の医療従事者とのコミュニケーションを基に現場のニーズを探索する機会が設けられている。



〈神戸大大学院医学研究科医療創成工学専攻 菅野公二教授インタビュー〉

 現在は神戸大大学院医学研究科医療創成工学専攻で学生への指導を行っており、2025年度からは医学部医療創成工学科でも教鞭を執る菅野教授は、小型センサを組み込んだ医療機器の研究開発に取り組んでいる。

 「私は光センサの開発や光センサを利用した医療機器の開発を主軸に研究を行っています。光センサは、対象に照射した光の反射光を測定し、対象の状態を測定するための機器です。物質はそれぞれ、ある波長の光は吸収し、また別の波長の光は反射する、といったように、光に対して固有の反応を示します。そのため、特定の波長の光を当ててその反射光を測定することで、対象の中にどのような物質が含まれているのか、どれくらい含まれているのかを知ることができるのです。例えば、スマートウォッチの中には心拍数をはかることのできるものがありますが、あれは血液中のヘモグロビンが緑色の光をよく吸収する性質を利用して、緑色の光を当てることで血管の収縮をモニタリングしています。このような光センサの技術を用いて、病気の早期発見や健康状態の検査を行うような機器の開発を目指しています。

 具体的には、『高感度生体分子センサ』『非侵襲生体センシング・イメージング』『内視鏡・カテーテル・鉗子など医療機器の高度化』の3つを主な研究テーマとしています」


■高感度生体分子センサ

 「まず大きなテーマとして、病気の兆候をいち早く捉えるために、DNAなどを計測する高感度生体分子センサの開発を行っています。例えば、がんを抑制する物質の生成を阻害する、DNAのメチル化を検出することで、がんになるリスクを診断する検査の実現を目指しています。DNAのメチル化とは、DNAの塩基配列にメチル基が付加される化学的な修飾のことです。この修飾が特定の遺伝子領域で起こると、がんを抑制するタンパク質の生成が妨げられる可能性があります。そのため、DNAのメチル化状態を高感度に検出できれば、がんになるリスクを早期に診断できると考えています。

 私の研究では、ラマン分光法という光を用いた計測技術を活用しています。DNAに光を当てて、その散乱光を分析することで、メチル化の有無を判別します。この技術を用いることで、血液サンプルから抽出したDNAのメチル化状態を、高感度かつ簡便に検査することが可能になります。このような検査は、特に肝細胞がんのような初期症状が現れにくいがんの早期発見に有効です。症状の出にくい箇所のがんは、発見時にはすでに進行していることが多く、治療が難しくなってしまいます。症状が現れる前の段階で、がんになるリスクを評価することができる機器を開発することができれば、予防や早期治療につながると期待しています」


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