多様化する学び(専門職大学、通信教育課程、海外留学での学び)③
本記事は多様化する学び(専門職大学、通信教育課程、海外留学での学び)②の続きの記事です。こちらも併せてご覧ください。
2通信教育課程での学び
⑴通信教育課程とは
通信教育課程は、通学課程のようにキャンパスへ通学し授業に参加する代わり に、印刷教材や動画配信、オンラインで開催される授業への参加などの方法での 学習を主に行う課程である。この課程では、学生は基本的には教材を使って自学自習で勉強を進めていくことになる。学習した内容について、必要な単位をすべて修得すると通学課程と同様に学士の学位を取得できる。印刷教材などでは指導が難しい科目については面接授業(スクーリング)が設けられることになっているが、大学や学部によっては校舎での授業には一度も参加せずに卒業することができるものもある。近年ではサイバー大学(2007年4月開設)、ビジネス・ブレイクスルー大学(2010年4月経営学部開設)、ZEN大学(2025年4月開設予定)など、全ての授業をオンラインで行う通信課程のみの大学も増えつつあり、自分がどこに住んでいても学びたい内容を学習することができる点が大きなメリットとなっている。
また、テキストや動画配信での授業が主であるため時間の制約を受けにくく、家庭の事情などで平日の昼間に時間をとりづらい人や、社会人として働きながら学びたい人にとっても専門分野を学ぶ機会となっている。 さらには、通信教育課程では通学課程と比較して学費が安く抑えられている場合も多い。経済的な負担を抑えたい場合にもメリットが多いと言えるだろう。
一方で、卒業するには必要な課程を自学自習で学びきらなければならないため、 通学課程以上に学ぶ意欲を高く持ち続ける必要があり、また学習時間を確保するためしっかりと自己管理をする必要がある。
⑵通信教育課程での学びの実例~放送大学教養学部~
放送大学は、文部科学省・総務省所管の通信制大学だ。教養学部1学部で構成 されており、学士の学位を取得できる「全科履修生」として入学する場合、「生活 と福祉」「心理と教育」「社会と産業」「人間と文化」「情報」「自然と環境」の6つ のコースから1つのコースに所属し、4年以上在学して所定の単位数を修得する と卒業が認定される。授業は以下の3つの形態で行われており、設定された最低 修得単位数の範囲内で興味に応じて選択することができる。①放送授業:BS放送を通じて提供される授業。学生は自宅のテレビで授業を視聴しながら、大学から届くテキストで学習を進める。放送授業はインターネットでも視聴可能で、こちらでは好きな時間に学習できる利点がある。学期途中の「通信指導」、学期末の「単位認定試験」はWebから提出・受験ができる。
②オンライン授業:Webを通じて行われる授業。1科目あたり8回(1単位)または15回(2単位)の授業があり、リアルタイムでの受講やオンデマンドでの視聴が可能である。現在はZoomを使用した双方向コミュニケーション型のライブWeb授業も開設されている。
③面接授業(スクーリング):全国57箇所に設けられた学習センター等の教室で 直接講師から学ぶ従来型の授業形態である。1科目あたり8回(1時間30分×7回+45分1回)受講する。年間約3000クラスが開講されており、その8割が土日に開講されている。実験やフィールドワークなども含まれ、他の学生との交流も可能である。