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就職からみた大学選び①

就職からみた大学選び①
就職からみた大学選び①

 コロナ禍の影響もようやく落ち着きを見せ、2025年3月に大学を卒業する「新卒」を対象とした企業・法人による採用予定数も回復、拡大を続けている。採用面接をオンラインから対面に戻す企業・法人が増えている。また、企業・法人に対し学生が有利であることを指す「売り手市場」の傾向が見られる。


 今回は「就職からみた大学選び」を考察する。大学受験の段階で、大学卒業後に働きたい職種や就職したい企業についてのビジョンを持つことで、学びたい内容をある程度絞り込むこともできるだろう。さらに、卒業後の活躍の場を想像することで、受験勉強へのモチベーションにもなるはずだ。


1.企業の採用動向

■景気動向と就職

 新型コロナウイルス感染症が2023年5月に「5類感染症」に移行してから1年が経過し、インバウンド需要など経済活動の回復がみられる一方で、個人の消費活動においては物価上昇による実質賃金の低迷の影響が観測されている。企業は経済活動が活性化し業績が伸びれば採用人数を増やす。逆に悪化すれば、採用人数を減らす。常に景気の動向に就職状況は左右される。グラフ1を見てほしい。


 1980年代後半から1991年頃までは、バブル経済と呼ばれた好景気により、求人倍率(求人総数÷就職希望者数)は高水準で推移したが、1991年にバブル経済は崩壊し、求人倍率は1996年3月卒では、1.08倍にまで落ち込み、「就職氷河期」時代になった。


 1990年代後半になると、インターネットの普及に伴うITバブル※1で一時的に求人倍率は改善したが、それも間もなく崩壊した。さらに、2008年にリーマン・ショック※2をきっかけとした世界同時不況が日本にも波及し、景気は悪化し、2010年3月卒から求人倍率は低下し、2012年3月卒の求人倍率は、1.23倍までに低下した。


 2013年以降は、政府の実施した一連の経済政策が功を奏して景気が回復し始め、2019年3月卒の求人倍率は1.88倍まで回復した。その後、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、2022年は1.50倍となったが、2023年には1.58倍、2024年には1.71倍、2025年には1.75倍と、徐々に上昇している。コロナ禍からの経済回復の中で、人手を求める企業が増加しているためだろう。


※1 ITバブル-1999年から2000年にかけて、日本ではインターネット関連企業への過剰な投資や、株価の高騰などが起きた。

※2 リーマン・ショック-2008年、米国の投資銀行リーマン・ブラザーズが、サブプライム・ローン問題で経営破綻したことにより、金融機関等が連鎖的に経営危機に陥り、世界的金融不安が起きた。


【グラフ 1 求人倍率の推移】


出典:「第41回 ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)」リクルートワークス研究所


【グラフ2 求人総数・民間企業就職希望者数の推移】


出典:「第41回 ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)」リクルートワークス研究所


 ■企業規模・業種別就職状況

 直近の就職状況を従業員規模別の求人状況からみてみよう。


 従業員数1,000人以上の企業の求人倍率は、2025年3月卒は0.72倍となり、前年から0.06ポイント減少した。一方従業員数1,000人未満の企業の求人倍率は、2025年3月卒では3.62倍となり、前年から0.71ポイントの大幅な増加であった。


 2025年3月卒の求人総数は、従業員数1,000人未満の企業では585,300人で、前年より11,000人の増加であったが、就職希望者数をみると、従業員数1,000人未満の企業では161,600人と、前年から35,900人減と大幅に減少した。


 一方で従業員数1,000人以上の企業では、求人総数は211,900人と前年から13,300人増加、就職希望者数は293,400人と前年から39,900人増加と、対照的に大きく就職希望者数を増やす結果となった。


 学生の大手志向が強まる中で、中小企業では人材の確保が難しくなっている状況が見て取れる。


【表 1 従業員規模別求人総数と民間企業就職希望者数の推移】


出典:「第41回ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)」リクルートワークス研究所


 業種別の求人倍率の推移をみると、前年度に求人倍率が激増した建設業が反動で減少した一方で、同様に前年に求人倍率が増加した流通業ではさらに5.72ポイント増加し、コロナ禍前と比較しても非常に高い倍率となっている。


 表3(P2)に、業種別求人総数と民間企業就職希望者数の推移についてまとめた。求人総数は建設業で前年の反動で減少したほか、金融業でも微減であった一方、流通業では24,800人増と大幅増となった。就職希望者数が前年比で増加し

たのは建設業と製造業、サービス・情報業であり、流通業と金融業では減少となった。


【表2 業種別求人倍率の推移】

出典:「第41回 ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)」 リクルートワークス研究所


【表3 業種別求人総数と民間企業就職希望者数の推移】

出典:「第41回ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)」リクルートワークス研究所

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