就職からみた大学選び④
本記事は、就職からみた大学選び③の続きの記事です。こちらも併せてご覧ください。
■採用の際に重視される「課外活動」
2022年1月に日本経済団体連合会(以下経団連)が発表した「採用と大学改革への期待に関するアンケート結果」を取り上げよう。
重視する学生の学修経験として、「大学での学修履歴」「課外活動」と回答した企業が約8割と、圧倒的上位を占めている。つまり、大学で何を学んだかという「学修履歴」と同じくらい、ボランティア活動やサークル、アルバイトといった「課外活動」に、企業・法人は注目していることがわかる。
ここ数年は新型コロナウイルスの影響で、ボランティアなどの課外活動も制限された。課外活動に力を入れたくても入れられなかった学生にとっては、面接時に課外活動をアピールすることができなかったかもしれない。しかし、上記アンケート結果によれば、〈期待する資質〉としては「主体性」、「チームワーク・リーダーシップ・協調性」、〈期待する能力〉としては「課題設定・解決能力」、「論理的思考力」が上位に挙げられており、こうした資質や能力を限られた経験を通じて得たことをアピールすることが必要だろう。
さらに〈大学での学修履歴を問わない理由〉としては「学修内容が仕事と直結しないため」とする回答が、5割以上を占めている。大学で学んだ事柄と、就職後の職務・業務内容は、合致していなくても構わないと考える企業も存在する。
■資格取得は就職に有利か?
就職するためには、「資格のある方が有利だろう」と考える高校生も多いに違いない。確かに、教員、医師、看護師、弁護士など、国家資格等の取得が前提となっている職業もある。例えば、教員の場合、(厳密には国家資格ではないが、)教職課程のある大学で学び免許状を取得する必要がある。医師、看護師、弁護士は国家試験を前提とした課程履修が必要となる。さらに弁護士の場合、法科大学院への進学が必要である(例外として予備試験の制度あり)。また、採用時の要件とはされてはいないが、資格を有することで採用のチャンスが広がる社会保険労務士などの国家資格もある。
しかし、採用する企業が、資格の有無をそれほど重視していない場合もあることにも留意すべきであろう。経団連が行った「採用と大学改革への期待に関するアンケート結果」(2022年1 月)によると、「企業が大卒者に期待する知識」について聞いたところ、「文系・理系の枠を超えた知識・教養」(84.7%)が最上位になり、「専門資格」(16.4%)となっている。つまり、必ずしも企業は、あらかじめ資格を求めているとは限らないわけだ。したがって、「とにかく就職には資格が有利」と考えるのではなく、社会の状況や自分の将来の方向性を見定めた上で、取得するべき資格について考えるようにしてもらいたい。