就職からみた大学選び⑤
本記事は、就職からみた大学選び④の続きの記事です。こちらも併せてご覧ください。
■学部・学科別の就職率
表7は、文部科学省の「学校基本調査」を基に、学部・関係学科別の2023年3月卒業者の就職率を示したものである。文学部や外国語学部などを含む「人文科学」の就職率は82.4%、法学部や経済学部などを含む「社会科学」の就職率は85.4%であった。理系分野では「理学」が48.7%、「工学」が56.1%、「農学」が65.5%であった。理系分野では大学院進学者が多いため、就職率は文系と比べて低くなる傾向がある。
「医学」「歯学」では国家試験合格後の臨床研修が義務となっており、卒業直後の就職者はほとんどいない。「薬学」は75.2%であった。「看護学」は、現場での人材需要が高く、就職率は93.1%、理学療法士などを養成する「保健(その他)」は、85.9%であった。「家政」も、保育士や栄養士など就職に直結する資格取得を前提とした学部・学科が多く、90.7%。教員を目指す「教育」は89.3%であったが、臨時的任用(非常勤講師など)の割合は高い。「芸術」は、他分野と比べる と定期採用が限られており、就職率も62.2%と低い。
■採用手法~インターンシップ~
2025年3月卒の学生から、政府によるインターンシップ等の取り扱いが変更となっている。これまで「インターンシップ」という呼称には特に定義が定まっていなかったため、企業等が学生を対象に行うイベントで広く使われていたが、内容に応じて「オープン・カンパニー」「キャリア教育」「汎用的能力・専門活用型インターンシップ」「高度専門型インターンシップ」の4つに類型化される。このうち、以下の要件を満たすもの(図2「タイプ3」「タイプ4」)が「インターンシップ」と称して実施されることとなる。
・就業体験要件(実施期間の半分を超える日数を就業体験に充当)
・指導要件(職場の社員が学生を指導し、学生にフィードバックを行う)
・実施期間要件(汎用的能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上)
・実施時期要件(卒業・終了前年度以降の長期休暇期間中)
・情報開示要件(学生情報を活用する旨等を募集要項等に明示)
また、企業等はこれらを満たす「インターンシップ」で取得した学生情報を、広報活動や採用選考活動の開始時期以降に使用できることとなり、ルールを満たしたうえで「インターンシップ」から採用選考活動への直結が正式に可能となった。
このように、自らの能力を職場での実務体験を通じて見極める機会としてインターンシップを活用できるよう、枠組みの整理が進められている。参加する際は十分な学修を積み、将来を見据えて臨むようにしたい。