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就職からみた大学選び⑧

就職からみた大学選び⑧
就職からみた大学選び⑧

本記事は、就職からみた大学選び⑦の続きの記事です。こちらも併せてご覧ください。


⑶大学院数と学生数

 表2(P2)は1989年以降の大学院数と大学院在籍者数(修士・博士・専門職)の推移である。大学院数についてみてみると、1989年には国公私立あわせて303校だったが、その後1990年代以降に新設が相次ぎ、増加の一途をたどった。

 2024年は、1989年当時の2倍を上回る663校の大学院が設置されている。日本にある大学の約8割が大学院を設置していることとなる(※一部、学部を持たず、大学院のみの組織である「大学院大学」もある)。

 国公私立別でみると、国立はここ10年以上86校、公立は前年より1校増加し91校、私立は前年から1校増加し486校となっている。

 国立大学の大学院はピーク時の2003年には100校あったが、2004年の独立行政法人化に伴う統廃合により国立大学そのものの数が減少し、それとともに大学院数も減少した。公立大学は、もともと大学数自体がそれほど多くなかった。しかし1990年代以降、公立大学の新設や私立大学の公立大学化などにより、大学院数も23校から91校へと急増した。私立大学の場合も、大学数の増加に連動して、大学院数も186校から486校へと大きく増えた。




⑷大学院の重点化

 これだけ大学院の数が増えたのには、1990年代から進められてきた「大学院重点化」の影響がある。「大学院重点化」では、それまでの「大学を構成するのは『学部』であり、大学院は学部に付置されるものである」という考え方を改め、「大学院」を、大学を構成する中心的な組織とすること、教員は大学院に所属することなどの方針が定められた。

 これにより、他の先進諸国よりも低かった日本の大学院進学率を高め、「科学立国日本」を牽引しうる人材を多く輩出しようという思惑があった。大学院数は増えていったが、大学院重点化が落ち着いた2007年頃からはそれほど大きくは増えてはいない。大学院在籍者数はその後も増加を続け、2011年には272,566人まで増加したが、その後は減少傾向に転じた。2015年に249,474人まで減少した後は再び増加傾向となっている。2024年は271,653人であった。

 2011年頃まで大学院在籍者数が増加していった背景には、大学院そのものの数が増えたこともあるが、学部卒業時に希望にかなった就職先を見つけることができなかった多くの学生が大学院進学を選んだことも作用している。同様に2021年以降の増加にもコロナ禍の影響が考えられる。


⑸オーバードクター問題からポスドク問題

 2024年の大学院生数は271,653人であり、1989年と比較すると約3倍に増加している。博士課程入学者数も1998年から増加を続け、ピーク時の2003年には18,232人に達した。

 しかし、増加に見合った数の就職先が確保されているわけではなく、博士課程を終えた者の多くが大学などの研究職を目指したが、もともと絶対数の多くない研究職ポストに希望者が殺到した結果、職に就けない博士号取得者が急増した。これを、「オーバードクター問題」と呼んでいる。

 その後、博士研究員(ポストドクター、通称「ポスドク」)制度が整備され一時的に有給研究者となれる道が開かれたものの、研究職のポストは依然として限られている。

 研究職への就職が困難な中、博士課程への進学者は減少傾向にある。2004年以後減少が続き近年は15,000人前後が続いている。2023年の大学院博士課程入学者数は15,014人であった。



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