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就職からみた大学選び⑨

就職からみた大学選び⑨
就職からみた大学選び⑨

本記事は、就職からみた大学選び⑧の続きの記事です。こちらも併せてご覧ください。


2.大学院進学率と大学院選択のポイント


⑴大学院進学率は理系が突出

 表4は、2023年3月大卒者の大学院への進学者数・進学率を関係学科別に示したものである。大学卒業者数の590,162人に対して、大学院進学者数は65,998人、進学率は11.2%であった。

 区分別の進学率をみた場合、最も高かったのは、理学の44.1%であり、続いて工学が38.5%、農学が26.4%となっており、理系の進学率が突出している。


⑵研究開発職は理系の修士課程修了がほぼ必須

 理系学生に人気の高い研究開発職に就くには、大学院に進学することが大前提となっている場合が多い。研究・開発部門を置く企業は、理系の修士号取得を応募条件としているケースがほとんどである。企業の選考面接の際には、大学院での研究テーマについて問われることが一般的となっている。

 都市銀行系の大手シンクタンク研究員職も修士取得者を対象としていることが多いが、こちらは文系・理系のどちらの学位でも応募可能な場合が多い。通常「環境・エネルギー分野」「地域政策・国土政策分野」「経済金融分野」「金融機関経営コンサルティング分野」など、文系・理系のそれぞれの知識を生かせる専門部署が置かれているためである。

 しかし、文系で資格を取得できる課程(法科大学院など)ではない場合、大学院に進学した後の就職状況は厳しいものとなる。特に一般企業では、文系の大学院で学んだことが評価されて採用に繋がるケースは少ないようだ。


⑶大学院進学が前提となる専門職

 国家試験や認定試験の受験が必要な一部の専門職で、大学院修了が不可欠な場合がある。たとえば、弁護士や裁判官、検察官として働くために必要となる司法試験を受験して法曹資格を得る場合、通常は法科大学院を修了していないと司法試験が受験できない(例外として、司法試験予備試験合格者は除く)。

 なお、法科大学院の修業年限は、法学部卒の場合は2年、それ以外の学部卒の場合は3年となっている。また臨床心理士も、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が指定する大学院を修了しないと、認定試験を受けることができない(公認心理師は、大学院を修了するほか、一定期間の実務経験などによっても受験資格を得ることができる)。


⑷大学院選択のポイント

 大学と同様、大学院進学を検討する場合にも、事前の情報収集は欠かせない。特に、現在の在籍大学とは別の大学院への進学を検討する場合、不明な点は多くなる。以下に挙げるポイントを押さえて効率よく検討を進めよう。


①インターネットを活用しよう

 多くの研究室がホームページを開設し、研究内容や研究室メンバーの構成などを紹介している。ただし、教授や学生が忙しくて日々の更新が後回しになっていることも少なくない。多くの場合こういったホームページには教授の連絡先メールアドレスが記載されているので、知りたい情報や疑問点があればメールなどで問い合わせてみよう。


②オープンキャンパスや講演会に参加しよう

 学部同様、近年はオープンキャンパスを開催する研究科も増えている。新型コロナウイルス感染症の影響で、ZOOMなどオンライン上で実施している研究科が多いものの、直接来場型を再開している研究科も増えている。また、指導教員が学内外で講演を行うこともある。参加できるものがあれば積極的に参加して講演を聞いてみよう。


③研究室に直接足を運んでみよう

 関心のある研究室が見つかったら、アポイントを取ったうえで実際に訪問してみよう。大学院進学を検討するうえでは、研究テーマはもちろんだが、最低 2 年間は所属する研究室の雰囲気に自分が馴染めるかどうかも重要である。ぜひ一度訪問して確認しておこう。


④研究室の規模や研究の様子を知ろう

 実際に訪問してみて、院生、加えて男女比が極端に偏った研究室、または全体の院生数が多すぎる研究室、あるいは活気を感じられない研究室もあるだろう。それには理由があるはずだ。自分の目や耳で確認し、不安材料は残さないようにしよう。教員はもちろんだが、研究室に所属する院生にも積極的に声をかけ、疑問をぶつけてみよう。


⑤出身者のその後のキャリアを確認しよう

 大学院入学後、自身の努力はもちろん重要だが、研究内容や指導教員の力量によって大学院生のキャリアは大きく左右されることも少なくない。研究室の出身者がその後どのように活躍しているかを確認しよう。


⑥法科大学院の場合、司法試験の合格率

 現在、司法試験の受験資格を得るうえで、法科大学院への進学は不可欠だが(予備試験合格者を除く)、司法試験の合格率は大学院によって大きく異なる。最終的な合否を左右するのは本人の努力だが、合格率が著しく低い大学院の場合、なんらかの問題がある可能性も否定できない。

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