2025年度入試動向(私立大学)①
今回の特集では、前年度の私立大学の入試結果を振り返った後、2025年度の私立大学入試の動向について分析する。
2025年度入試はコロナ禍による影響からの回復や新課程入試の開始など、受験生にとって変化の重なるタイミングとなる。志望する進路の決定の際に他の受験生の志望動向に振り回される必要はないが、全体の傾向を把握しておくことは受験戦略を決定する上でも有用なので、しっかり情報を集めて対策を万全にしていきたい。
1 2024 年度私立大学入試を振り返る
⑴私立大学の志願者数はほぼ前年と同じ(前年度比99.8%)。
日本私立学校振興・共済事業団「私立大学・短期大学等入学志願動向」によると、2024年度の私立大学の入学志願者数(一般・学校推薦型・総合型などすべての入試方式を含む延べ人数)は3,704,471人で、前年度から8,330人の減少(前年度比99.8%)、受験者数は3,534,534人で前年度よりも9,274人の減少(同99.7%)となった。志願者数は2013年度から増加を続けていたが、2020年度に減少に転じ、以降コロナ禍の影響もあり減少が続いている。一方で、入学定員は近年増加を続けて
おり2024年度は503,874人と前年度から1,239人の増加(同100.2%)となっている。
志願倍率(志願者数÷入学定員)は前年度から約0.04ポイント減少し、7.35倍となった。合格者数は1,490,680人で、前年度よりも3,344人減少(同99.8%)した。
表1およびグラフ3は、大学の学校所在地別に見た2019~2024年度の志願倍率(志願者数÷入学定員)である。2024年度は「兵庫」「広島」で志願倍率が大きく向上したほか、「埼玉」「東京」「愛知」でも前年度から向上した。他方、「甲信越」「滋賀・奈良・和歌山」「中国(広島を除く)」では大幅な低下となった。
首都圏や京阪神地区、愛知、広島といった大都市圏では志願倍率が上昇したり、低下しても比較的減少幅が小さくなったりと、引き続き大規模大学の人気の高さがうかがえる。しかし全体としては減少傾向が続いており、コロナ禍の影響に加えて18歳人口減少の影響が大きく出ている。
表2およびグラフ4は、大学の入学定員を基準とした規模別の2019~2024年度の志願倍率(志願者数÷入学定員)である。入学定員の少ない小規模の大学では志願倍率が低く、大規模大学で志願倍率が高い傾向にある。
2024年度を見ると、入学定員が「100人未満」「100~199人」および「1,000~1,499人」「1,500~2,999人」の規模では志願倍率が向上、それ以外の規模で低下となった。入学定員が「3,000人以上」の大学では志願倍率が11.50倍である一方、1,000人以下の規模ではどの規模でも5倍を下回っており、ここでも大規模大学に人気が集中している様子が見て取れる。