入試直前期の過ごし方と準備①
大学入試センターは12月6日に2025年度の大学入学共通テストの志願状況を公表した。確定志願者数は495,171人で、前年度から3,257人増加となった。7年ぶりの増加であるが、18歳人口が一時的に増加したことが主な要因である。内訳は、高3生が425,968人(前年度から6,434人増)、既卒生が64,974人(前年度から3,246人減)、高卒認定等が4,229人(前年度から69人増)となっている。また、現役志願率(高3生のうち共通テストに出願した者の割合)は45.5% で過去最高を更新した。
今回は、入試直前の時期に注意すべき学習対策や生活面での心構え、受験に向けた準備などについて特集する。
1 2025年度 入試スケジュールの再確認
まずは、カレンダー(できれば1月から3月まで見渡せて、余白に書き込みができるもの)を用意し、これに入学試験日、出願手続締切日、合格発表日、試験会場、試験科目を書き込んでいこう。さらに、高校の登校日、試験会場への移動日、会場の下見の日なども記入しておこう。そうすると、受験終了までのスケジュールや学習すべき内容が、一目で把握できて便利だ。また、空き時間も一目で分かるので、学習時間の計画が立てやすくなる。
その他、募集要項を確認したり、出願書類を書いたりする時間や、受験票の写真を撮影する時間も必要となる(※インターネット出願の場合には、画像データも必要な場合がある)。
受験直前期の学習計画を立てる際には、共通テスト前に学習することと、共通テスト後に学習することの配分を考えよう。私立大学の個別試験や国公立大学の2次試験の学習について、全てを共通テスト後に回してしまうと学習量が足りなくなることも有り得る。共通テスト前までに何を学習するか、計画的に決めておくことが重要だ。
図1に、2025年度大学入試の1月以降の主なスケジュールをまとめた。大まかな流れとしては、1月18日・19日の共通テストから始まり、その後の国公立大学の2次試験への出願、2月上旬からの私立大学の個別試験、2月下旬から3月上旬の国公立大学の前期・中期・後期日程試験へと続く。
⑴共通テストのスケジュール
2025年度共通テストの本試験は、1月18日(土)、19日(日)に行われる。そして、本試験の1週間後の1月25日(土)、26日(日)に追試験が実施される。
■追試験について
追試験の受験が認められるのは「ア 疾病・負傷による場合」もしくは「イ試験場に向かう途中の事故又はやむ得ない事由による場合」のいずれかに限られる。いずれも「医師の診断書」ないし「事故又は事由が確認できる証明書」等が必要である。
申請受付時間内に本人又は代理人が「問合せ大学」に行けない場合は、申請受付時間内に「問合せ大学」に電話連絡して指示を受ける。
⑵私立大学の個別試験(一般選抜)のスケジュール
以前は郵送での出願がほとんどだったが、近年はインターネットによる出願受付を導入している大学が増え、インターネット出願に完全に移行して郵送での受付を廃止した大学も増えてきた。表2のように、主要私立大学のすべてがインターネット出願に完全移行している(慶應義塾大は大学入学共通テスト利用の入試を実施していない)。
インターネット出願は、わざわざ紙の願書を取り寄せる必要がなく、24時間出願できる。受験料もコンビニなどで24時間支払いが可能であり、受験料の割引を行っている大学も多いなど、さまざまな利点がある。
ただし、インターネット出願であっても、調査書などは別途郵送する必要があるので、締め切り日から余裕をもっての出願を心がけたい。インターネットによる出願手続の大まかな流れを図2に示したので、参考にしてもらいたい。
私立大学の個別試験の出願期間は、1月上旬から中旬頃に2週間程度の期間を設けている場合が多い。
個別試験の試験期間は、概ね2月上旬から中旬がピークである。入学試験は1日がかりの大仕事であり、模擬試験と比べても精神的にも体力的にも消耗が激しい。複数の大学を受験して、試験日が3日以上連続してしまうと体力的にかなり厳しくなる。受験校を決める際には、無理のないスケジュールになるよう試験日程も考慮しよう。
■事前出願と事後出願
私立大学の共通テスト利用入試(以下、共通テスト方式)には、共通テスト本試験よりも前に出願を締め切る「事前出願」型と、共通テストを受験してから出願できる「事後出願」型がある。多くの私立大学は「事前出願」型であるが、早稲田大など「事後出願」型の大学もある。
早稲田大の共通テスト方式の出願期間は、1月6日(月)~1月20日(月)となっており、共通テストの翌日が締め切り日である。このように「事後出願」型であっても、出願できる期間は長くても共通テスト本試験の数日後までとなっている大学が多く、じっくり考えている余裕はない。したがって、出願する可能性のある全ての大学について、あらかじめ出願書類を用意しておきたい(インターネット出願の場合、あらかじめ願書を入手する必要はないが、調査書等はあらかじめ高校に相談しておくこと)。
■共通テスト方式のメリット・デメリット
共通テスト方式(特に共通テスト単独利用の場合)のメリットは、1回の共通テストの受験だけで複数の大学・学部に出願できるため、国公立大学や他の私立大学との併願がしやすいこと、地元で共通テストを受ければ遠方の大学でも受験できること、受験料が私立大学の個別試験方式に比べて安いことなどが挙げられる。
デメリットとしては、共通テスト方式の募集人員は個別試験方式に比べて少ないことが多く、志願倍率が高くなりやすい。そのため、第1志望の大学を共通テスト方式のみで受験することは避けた方が良いだろう。
⑶国公立大学の2次試験のスケジュール
2025年度の国公立大学の2次試験の出願期間は、1月27日(月)~2月5日(水)までである。
すでに多くの国公立大学でインターネット出願が導入され、主たる出願方法となっていて、紙の願書を受け付けていない大学も多くなってきている。各大学ですでに出願手続の案内を発表しているので、志望校の出願方式については早めに確認しておこう。また紙の願書で出願する必要がある場合は余裕がある時期にあらかじめ入手しておきたい。国公立大学の願書は、直接大学へ取りに行くか、インターネットや郵便で請求することにより取り寄せることができる。