入試直前期の過ごし方と準備②
本記事は、入試直前期の過ごし方と準備①の続きの記事です。こちらも併せてご覧ください。
(2)私立大学の個別試験(一般選抜)のスケジュール
以前は郵送での出願がほとんどだったが、近年はインターネットによる出願受付を導入している大学が増え、インターネット出願に完全に移行して郵送での受付を廃止した大学も増えてきた。表2のように、主要私立大学のすべてがインターネット出願に完全移行している(慶應義塾大は大学入学共通テスト利用の入試を実施していない)。
インターネット出願は、わざわざ紙の願書を取り寄せる必要がなく、24時間出願できる。受験料もコンビニなどで24時間支払いが可能であり、受験料の割引を行っている大学も多いなど、さまざまな利点がある。ただし、インターネット出願であっても、調査書などは別途郵送する必要があるので、締め切り日から余裕をもっての出願を心がけたい。インターネットによる出願手続の大まかな流れを図2に示したので、参考にしてもらいたい。
私立大学の個別試験の出願期間は、1月上旬から中旬頃に2週間程度の期間を設けている場合が多い。
個別試験の試験期間は、概ね2月上旬から中旬がピークである。入学試験は1日がかりの大仕事であり、模擬試験と比べても精神的にも体力的にも消耗が激しい。複数の大学を受験して、試験日が3日以上連続してしまうと体力的にかなり厳しくなる。受験校を決める際には、無理のないスケジュールになるよう試験日程も考慮しよう。
■事前出願と事後出願
私立大学の共通テスト利用入試(以下、共通テスト方式)には、共通テスト本試験よりも前に出願を締め切る「事前出願」型と、共通テストを受験してから出願できる「事後出願」型がある。多くの私立大学は「事前出願」型であるが、早稲田大など「事後出願」型の大学もある。早稲田大の共通テスト方式の出願期間は、1月6日(月)~1月20日(月)となっており、共通テストの翌日が締め切り日である。このように「事後出願」型であっても、出願できる期間は長くても共通テスト本試験の数日後までとなっている大学が多く、じっくり考えている余裕はない。したがって、出願する可能性のある全ての大学について、あらかじめ出願書類を用意しておきたい(インターネット出願の場合、あらかじめ願書を入手する必要はないが、調査書等はあらかじめ高校に相談しておくこと)。
■共通テスト方式のメリット・デメリット
共通テスト方式(特に共通テスト単独利用の場合)のメリットは、1回の共通テストの受験だけで複数の大学・学部に出願できるため、国公立大学や他の私立大学との併願がしやすいこと、地元で共通テストを受ければ遠方の大学でも受験できること、受験料が私立大学の個別試験方式に比べて安いことなどが挙げられる。
デメリットとしては、共通テスト方式の募集人員は個別試験方式に比べて少ないことが多く、志願倍率が高くなりやすい。そのため、第1志望の大学を共通テスト方式のみで受験することは避けた方が良いだろう。
(3)国公立大学の2次試験のスケジュール
2025年度の国公立大学の2次試験の出願期間は、1月27日(月)~2月5日(水)までである。
すでに多くの国公立大学でインターネット出願が導入され、主たる出願方法となっていて、紙の願書を受け付けていない大学も多くなってきている。各大学ですでに出願手続の案内を発表しているので、志望校の出願方式については早めに確認しておこう。また紙の願書で出願する必要がある場合は余裕がある時期にあらかじめ入手しておきたい。国公立大学の願書は、直接大学へ取りに行くか、インターネットや郵便で請求することにより取り寄せることができる。
2 宿泊・交通手段の確認・予約と受験会場の下見
自宅から離れた場所にある大学を受験する場合は、宿の手配や交通機関の予約も必要だ。最近では、大学所在地以外の都市に試験会場を設けて入試を行う大学も増えているが、必ずしも自宅近くの会場が利用できるとは限らない。また、受験シーズン直前の1 月中旬以降は予約が急増し、条件の良い宿は受験生の予約が集中するので、なるべく早く手配するようにしよう。
■宿選びのポイント
宿は、できるだけ大学(試験会場)の近くがよい。受験当日に焦らなくてもいように、徒歩で行ける範囲であれば理想的である。そうでない場合も、当日に交通機関が乱れる可能性もあるので、できれば試験会場まで電車等の乗り換えなしで行けるところがよいだろう。電車とバスなど複数の交通機関を選んで利用できる場所であれば、なお良い。電車が運休になってしまっても、バスなど代わりの交通機関を利用できるからだ。
宿の設備にも気を配ろう。乾燥対策のための加湿器の有無や、勉強用の電気スタンドの有無、周辺に飲食店やコンビニエンスストア、銀行等のATMがあるかどうかも確認しておこう。
宿探しで参考になるのが、旅行代理店などが提供している「受験生向けプラン」である。旅行代理店で相談するか、インターネットで情報を得ることができる。ホテルの受験生向けプランでは、試験会場への送迎バスや、受験当日の弁当を準備するといったサービスも見かける。また、大学生協で受験サポートを行っている大学もある。大学のホームページなどで確認しよう。
新幹線などを利用する場合は、予約も早めにしておこう。新幹線は原則として1か月前から予約できる。新幹線などの長距離列車を利用する場合、乗車券は学割の対象になる。学割証明書の発行を高校に依頼しておこう。
■下見の重要性
遠距離・近距離にかかわらず、済ませておきたいのが試験会場の下見である。可能であれば、試験日と同じ曜日の同じ時間帯に実施したい。曜日や時間帯によって列車のダイヤが異なる場合もあるし、都市部ではラッシュアワーに巻き込まれる場合もある。
また、列車を乗り換える場合は入念に下見をしておこう。一部の駅は、ホームや通路が複雑に入り組んでいたり、案内表示が分かりにくかったりして、迷うこともある。最寄り駅から大学までの距離が近いとしても、初めての道は迷うこともあるので、油断は禁物だ。
以上を踏まえたうえで、移動にかかる時間に数十分を加算し、当日は時間に余裕を持って出発しよう。そうすれば、何かアクシデントがあったとしても「まだ時間に余裕があるから大丈夫だ」と焦らずに対応できるだろう。