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入試直前期の過ごし方と準備③

入試直前期の過ごし方と準備③
入試直前期の過ごし方と準備③

本記事は、入試直前期の過ごし方と準備②の続きの記事です。こちらも併せてご覧ください。


3 受験直前の学習で気をつけたいこと


(1)過去問演習は本番と同じ条件

 受験勉強の総仕上げとして最も効果的なのは、過去問演習である。ただし、2025年度入試は新課程に対応した初めての入試であり、同様の条件の過去問がまだ存在しない。また、数学と理科では2014年度以前、それ以外の教科では2015年度以前の入試問題は、昨年度までの入試に対応した教育課程ではなく、さらに以前の(旧い)教育課程に基づいて出題された問題である。その問題が出題範囲に含まれるかどうかよくわからないときは、先生に尋ねるなどして確認するようにしよう。

 多くの変更が予想される中でも、過去問を解くことで得られる知識・発想やペース配分などは依然有益である。また、自分が受験する大学の出題傾向も理解できる。難関大学に合格した受験生へのアンケート調査では、「過去問演習をする目的」について「出題傾向をつかむため」(85.8%)「入試問題の難易度を知るため」(74.1%)「自分の実力を知るため」(66.0%)と答えており、過去問演習の重要性がわかる。

 共通テストは導入5年目であり、過去問は4年分しかない。先述のアンケート調査で「共通テスト対策にセンター試験の過去問を利用しましたか?」との質問に対して、57.1%が利用したと回答し、そのうちの93.5%が有効であったと答えており、センター試験過去問演習も有効であることがわかる。今年度より追加される『情報』や大きな変更が予想される科目には、加えて『共通テスト本番レベル模試』の復習や予想問題も活用して、万全の対策をしておきたい。


 過去問演習の際に心がけるべきことは、できる限り入試本番と同じ条件で問題を解くことである。例えば、共通テスト対策として共通テストやセンター試験の過去問を解く場合には、時間を計って実際にマークシートに鉛筆で解答を記入しよう。また、試験本番での自己採点を想定して、問題用紙にも自分の答えを記入しておこう。

 共通テストは問題数が多いため制限時間が厳しく、「時間との勝負」という側面が強い。過去問を解く際には、見直しやマークの確認などの時間を考えて、実際の制限時間よりも10分程度短い時間で解く練習をしよう。ただし、時間内に解けなかった問題があった場合には、その問題に印をつけて、その問題を解いてから答え合わせをするようにしよう。決められた時間内で問題を解くことを何度か繰り返して、時間配分をしっかり身につけるようにしたい。

 途中の計算や説明の記述についても、国公立大学2次や私立大学の記述式の過去問演習ではついつい省略したくなるが、これも本番のつもりで全てきっちりと記入することが大事である。普段はできると思っていることでも、入試本番では緊張してできなくなることも少なくない。日頃から丁寧に答案を書くことを習慣化しておくことが重要だ。


■10年分を目途に

 過去問演習は、できれば10年分くらいは解いておきたい。前述の通り旧い教育課程の過去問もあるので、どの問題が現行の教育課程に含まれるのか確認したうえで、できるだけ多く問題を解くようにしよう。過去に出題した問題と同じような傾向の問題を出題する大学が多いので、過去問演習をしっかり行ったか否かが、入試結果に大きく影響する場合が多い。

 難関大学に現役合格した先輩たちへのアンケート調査でも、早慶志望者は平均で10.8年分、旧七帝大志望者は10.9年分の過去問を解いたと回答している。少なくとも第1 志望の大学については、過去問演習10年分程度はやっておきたい。

(2)全ての科目をまんべんなく勉強しよう

 受験の直前は弱点補強も大事だが、むしろ全ての科目をまんべんなく学習した方がよい。例えば共通テストの直前段階で、理系ならば地歴・公民を、文系ならば理科を集中的に学習しようとする人がいるが、実際には英語・数学・国語の配点が高いケースも多く、結果的に配点の高い科目の学習がおろそかになることも少なくない。

 このように考えると、学習時間の配分の目安は「第1志望大学の科目ごとの配点」ではないだろうか。配点に比例した時間を各科目の学習にあてることが、最も理にかなっている。もちろん、苦手科目にある程度の時間を割くのは悪いこと ではないが、配点の高い科目で確実に得点できるよう、それが得意科目であっても十分な学習時間を配分したほうが、良い結果につながることが多い。

(3)発展的内容よりも基礎固めを重視しよう

 この時期の受験生が陥りやすい思考パターンを考察してみよう。例えば「得意科目で難しい問題を解き、他の受験生と差をつけよう」と考えたことはないだろうか。もちろん、難問を解答できることが悪いことではない。しかし、他の受験生に差をつけようと、出題率の低い発展的な内容ばかりを学習し、基礎固めがおろそかになってしまうのは良くない。

 入試結果を分析すると、難問は合否にほとんど影響しない。ほとんどの受験生が正答を得られないため、あまり点差がついていないことが多いからだ。一方、合否の分かれ目となっているのは、基本的な問題の正答率である。入試当日は過度の緊張状態となるため、普段は決して間違えないような基本的な問題をミスしてしまった経験を、多くの先輩たちが持っている。合格するためには、基本的な問題を確実に得点することが最も重要になる。

 公式や用語・単語の確認、教科書の基本事項のおさらいなどは、共通テスト前に一通り済ませておこう。入試本番でのケアレスミスや、基本問題の取りこぼしを防ぐのに効果的である。

 さらに、模試や過去問演習で間違えた問題の見直しもしておこう。模範解答の解説を読んだり関連事項の確認をするなどして、知識を広げておくと良い。

 また、この時期に新しい問題集や参考書に手を出すのは禁物である。それよりも、以前解いた問題を繰り返し解いて、知識の定着と理解を深めるべきだ。繰り返し問題を解くことによって応用力が養われ、自信につながる。

(4)文房具について

 共通テストでは定規の使用は禁止されているので、図を書く場合フリーハンドで書けるように練習しておくことが必要だ。また、シャープペンシルもメモや計算用としてのみ利用可となっているため鉛筆でマークする必要がある。鉛筆とシャープペンシルでは太さはもちろん取り回しの面で異なる点も多いので、日頃から鉛筆でマークし、どれくらいマークすると鉛筆の先が丸くなるのか、1つの科目で何本程度鉛筆があると安心なのかを把握しておきたい。

(5)丁寧に答案を書くことを心がけよう

 私立大学の個別試験や国公立大学の2次試験など、記述式の過去問を解く場合には、「採点者に答案を読んでもらう」という意識で丁寧に答案を書くようにしよう。字が雑だったり薄すぎて読みにくかったりすると、解答が正しくても得点をもらえない可能性がある。採点者にとっても、字を判読できなければ採点のしようがないのだ。これは、小論文においてもいえることである。

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