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サイエンスセミナ実施レポート①~金属錯体を駆使してまだこの世にない新物質を創る~

サイエンスセミナ実施レポート①~金属錯体を駆使してまだこの世にない新物質を創る~
サイエンスセミナ実施レポート①~金属錯体を駆使してまだこの世にない新物質を創る~

金属錯体を駆使してまだこの世にない新物質を創る



🔳化学オリンピックで知る、考え抜くおもしろさ

 「国際化学オリンピックが開催されるから、出てみれば?」

 高校1年生のとき、化学の先生からかけてもらったこのひと言が、研究者へと進む初めの一歩となりました。 オリンピックに出るには国内予選の「化学グランプリ」で上位入賞しなければなりません。ところがあっさり惨敗、そこで一念発起して勉強したおかげで、高校2年生で入賞し、代表になれたのです。

 出場するのは翌2004年にドイツで開催される大会です。事前準備のため事務局から「大阪大学の神戸先生に教えてもらいなさい」と連絡がありました。幸運にも私と同じ苗字の先生が、同じ集落に住んでおられたのです。

 実は化学は得意ではなかったのですが、オリンピックの問題は高校のテストで出るような化学の問題と違っておもしろかった。なぜなら暗記で解く問題はなく、とにかく考え抜かないと答えを出せない問題ばかりだったから。学び続けるうちに無機化学に興味を持つようになり、第36回の大会では銅メダルを受賞できました。

 大学でも理学部で化学を専攻、最初は有機化学、それも材料合成を学びました。これはさまざまな手法を使って、新しい分子などを創り出す研究です。続いて大学院の修士課程から無機化学の研究室へ移り、金属錯体化学や高分子合成に取り組みます。

 研究テーマは金属錯体を二次元で連結させた平面のナノシート作成、その成果を『π共役メタラジチオレン錯体の二次元ナノシートへの展開』と題した博士論文にまとめました。この研究では水と有機溶媒の液の界面を利用して2次元、さらに1原子層の単層シートの合成にも成功しました。

 このような特殊な合成方法を活用すれば、これまで存在しなかった新しい材料を創り出せます。そのカギとなるのが金属錯体、金属イオンが他の分子やイオンなどと結合してできる物質です。これを使えば金属と有機物を組み合わせて、金属の構造を制御できる。金属だけなら結晶構造やバルク状となるけれども、金属のまわりを有機物などで固めた錯体なら有機物の結合を活用して新しい物質を生み出せるのです。

 とはいえ、どの金属にも適用できるものでもなく、周期表から対象となりそうな金属の目安を付けて研究しています。例えば周期表の第3族から第11族までの遷移金属です。これらは似たような特性を持ちながらも電子の数が一個ずつ変わり、それに伴って少しずつ結合力が変わったりします。このような特性を活用しながら研究を進めています。


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