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社会を変えるデータサイエンス第10回 大阪大学①

社会を変えるデータサイエンス第10回 大阪大学①
社会を変えるデータサイエンス第10回 大阪大学①

「数理」で他人が見えない本質を見る


 大阪大学の鈴木讓教授は「データの背後にある本質を見る営みこそがデータサイエンスである」と語っています。長年医療診断や遺伝子解析などで用いられるベイジアンネットワークと呼ばれる研究をされ、最近は機械学習の数理に関する著書を多数出版されています。鈴木教授の研究の概要と、データサイエンスの数理科学的なアプローチの概念に関して解説します。




ベイジアンネットワークで因果関係を表す

 ここ数年、AIが驚異的に進歩し、社会を大きく変えつつあります。私はそのAIの基礎原理である「機械学習」を数学的に分析し、より効率的な方法を生み出すための研究を行っています。特に力を入れていたのがベイズ統計学 ※ から生まれた「ベイジアンネットワーク」という理論の研究です。理論の研究というと難しいイメージを持たれるかもしれませんが、ベイジアンネットワークとは、「複数の変数同士の因果関係や依存関係を、目で見てわかるように表現するための統計的な手法」のことを言い、身近な事象に応用されています。

 例えば「雨が降った後に芝生を歩いたら靴が汚れた」という現象があったとしましょう。その現象をベイジアンネットワーク的に表現すると、天気(晴れ/雨)→芝生の状態(湿っている/乾いている)→靴の状態(きれい/汚れている)という変数を矢印で結んだ因果関係で表すことができます。天気や芝生の状態を変数とすることで、靴の汚れを確率的に予測することが可能になるのです。その逆に靴の汚れから、芝生や天気の状態を推測することもできます。このようにベイジアンネットワークは現実の因果関係を数理的に表現できることから、現在では気象予測、医療診断や機械の故障予測などに幅広く応用されています。

※名前の由来となったトーマス・ベイズは確率論の確立に寄与した18世紀を代表する数学者・哲学者。

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