


大学入試の基礎知識⑥~学校推薦型選抜~


本記事は大学入試の基礎知識⑤~総合型選抜~の続きの記事です。こちらの記事も併せてご覧ください。
学校推薦型選抜は、2020年度まで推薦入試と呼称されていた試験方式である。受験者が出身高校からの推薦を受け、高校が発行した調査書と面接や小論文などで合否を判定する試験方式である。多くの大学では、合格した場合は必ず入学するという「専願制」としているが、他の大学に合格した場合は入学しなくても良い「併願制」を設ける大学も増えている。
2020年度大学入学者選抜実施要項(文部科学省)では、「出身高等学校長の推薦に基づき,原則として学力検査を免除し,調査書を主な資料として評価・判定する入試方法」と記載されていたが、2021年度入試からは、「原則として学力検査を免除し」が削除され、調査書・推薦書等の出願書類だけでなく、総合型選抜同様に各大学が実施する評価方法(小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績など)または共通テストのうちいずれかの活用が必須化された。
学校推薦型選抜は、大きく分けて「指定校制推薦」と「公募制推薦」とに分けられる。
指定校制推薦は、大学が指定した高校からのみ出願ができる方式である。これは、高校と大学との間の信頼関係によって成り立っている制度であり、推薦されればほぼ合格できる。ただし、推薦できる人数(推薦枠)が限られているので、推薦を受けるためには高校内での選抜に勝ち残る必要がある。
「公募制推薦」は、どの高校からでも出願できる。通常は面接や小論文などで判定されるが、共通テストを課される場合もある。また、高校1年生から3年生の1学期までの全教科の学習成績の状況(旧「評定平均値」)が大学の定める基準を超えていることが出願の条件となっていることが多く、部活動や生徒会活動、ボランティア活動などが評価の対象になることもある。
また、2021年度入試からは出願受付が11月1日以降、合格発表が12月1日以降に変更された。入学前教育についても総合型選抜と同様に積極的な実施を求めている。
◆国公立大学の学校推薦型選抜
国公立大学の学校推薦型選抜は基本的に公募制推薦であり、共通テストを課す大学が多い。また、過疎地の医師や教員の確保を目的として、大学卒業後にその地域で就職することを前提にした「地域枠」や「地元出身枠」が医学部や教育学部で実施されているところもある。さらに近年の傾向として工学部を中心に「女子枠」を設ける大学も増えている。
学校推薦型選抜の募集人員の割合は、国立大学では2018年度の12.5%から2025年度は13.4%に増加した。公立大学では、2018年度の25.5%から2025年度には28.2%へと増加している。(グラフ4・5)
◆私立大学の学校推薦型選抜
私立大学の学校推薦型選抜は、公募制推薦のほか指定校制推薦を実施している大学が多い。また、私立大学の学校推薦型選抜(公募制推薦)では、併願が認められている場合もある。通常の学校推薦型選抜のほか、スポーツ推薦、高度な技術や技能が求められる特別推薦(いわゆる「一芸入試」)などもある。