


大学入学共通テスト徹底分析② 数学


この記事は大学入学共通テスト徹底分析①の続きです。こちらの記事も併せてご覧ください。

正答率10%台と20%台がたった5問と易化傾向の数学
センター試験時代から、新課程に移行した一年目は易化しやすい傾向があり、2025年の共通テストもその流れが出ました。ただし二年目は難しくなる傾向にあるので、そこは注意が必要です。東進生の受験生の正答率を見ると、全体で最も低かったのは数学I・A「図形の性質」の最後の設問で17.7%でした。数学Ⅱ・B・Cは「数列」の最後の設問が最も低く21.2%。全問題中10%台の設問がある問題は「図形の性質」のみで、20%台の設問も4問だけでした。偏差値65以上の上位生は正答率25%を越える問題ではほぼ間違えないと思うので、数学が得意な生徒は、解きやすい内容だったといえます。
次に数学Ⅱ・B・Cの選択問題に目を向けてみましょう。第4問から第7問を東進生の受験生の文理で分けて偏差値ごとにデータをとってみると、文系生の90%以上が第5問で「統計的な推測」を選択し、理系生は上位生ほど第7問の「複素数平面」を選択しました。文系生にとって「平面上の曲線」「複素数平面」は学習がやや重くなるので、やはり「統計的な推測」を選択するといいと思います。
理系生は二次試験レベルの問題を解けるようにしておけば「平面上の曲線」「複素数平面」の選択で何も心配することはないでしょう。

最難関だった「図形の性質」最後の設問の正答率は1割台直交と垂直の定義に注意
2025年の共通テスト、数Ⅰ・A、Ⅱ・B・C全体の中で、最も正答率が低い設問があったのが左下の問題です。では、I・Aの第3問「図形の性質」を見ていきましょう。
「∠ADE、∠ADF、∠EDFの大きさに着目する」というヒントがあり、 辺の長さが与えられてい ます。三平方の定理が成り立つか成り立たないか によって、直角か直角じゃないかが判断できるかと思います。これを調 べると、赤い角度ADEが垂直で、青い角度FDEが垂直で、緑の角度PDFは垂直ではないことが辺の長さからわかりま す。
これがわかると(a)(b)(c)の命題について、まず(b)が「◯」であることがわかりまし た。これは平面と直線の垂直条件ですね。DEは ACFDに垂直である。
これがわかると、(C)の命題にあるACという直線は(B)の命題にあ る平面ACFDに含まれ ているので、直線ACと直線DEは当然これも垂直であることがわかります。このことから命題(C)も「◯」となります。
ここで注意したいのが、 直線と直線は直交する場 合と垂直になる場合とで 定義が違うという点です。 垂直は「方向ベクトルが 垂直」であればよく、直交は「垂直でかつ交わる」 という定義があります。 この問題では、ねじれの位置だから垂直ではないと判断した人がかなり多かったのかもしれません。最後に命題(a)の「平面ABEDと平面DEFは垂直である」は、平面と平面のなす角を調べる問題です。これも定義によって交線DEに垂直に直線AD、FDを引っ張っているので、緑の角度が平面と平面のなす角です。よって、これは「×」。ということで答えは④となります。
選択肢の選択率も適当に散っていて、それなりに難しかったのかなと思いますが、この問題は2025年の数学I・A/Ⅱ・B・C全体の中でも一番の良問だと思います。
