


大学選びのポイント ⑶個別の大学を調べる


この記事は大学選びのポイント ⑵進みたい学部・学科を見つけるの続きです。こちらの記事も併せてご覧ください。
⑶個別の大学を調べる
学びたい分野、学部・学科が決まったら、受験する大学を決めることになる。ただし、入試難易度や知名度だけで大学を選ぶと入学した後で後悔することにもなりかねない。大学を中退する原因のひとつが、学生と大学とのミスマッチによるものといわれている。入学してから、「自分の学びたい内容がない」と中退してしまうケースも多い。受験前に校風や学びの環境が自分に合った大学かどうか、オープンキャンパスなどを利用して、あらかじめ自分自身の目で確かめることが重要である。
また、その大学に在籍する教員の研究内容や著書に感銘を受け「この先生の講義を受講したい」といった動機があってもいい。最近では、文系理系を問わず全国各地の大学でどの教員がどのような研究や講義を行っているか、分野別に詳しくインタビューし紹介しているウェブサイトもある。また、多くの研究室はホームページを開設しているし、研究室への問い合わせや直接の訪問に応じている場合もある。ぜひ、調べてみてほしい。
大学選びの大前提として重要なことは、現在の成績で入れる大学を選ぶのではなく、自分が本当に「学びたい大学」を選ぶことである。仮に、現在の成績を基準にして大学を選んだりすると、成績の伸びが現時点で止まってしまいかねない。
逆に、「この大学で学びたい」と強く願う大学を目標にすれば、その目標を叶えるために努力をしまず学習に励むことにつながるだろう。高い目標を持っていれば、それに応じて学力も伸びるものである。ぜひ、志を高く持って学習に取り組んでほしい。
以下、大学選びのポイントを列記してみよう。
①カリキュラムの特徴
大学で学ぶ科目は、大きく分けて教養科目と専門科目に二分される、通常は、大学入学後1年次から教養科目と専門科目の両方を履修する場合が多いが、比率は大学により異なる。また、大学によっては、教養科目のほかに独自の科目群を設けている場合もある。
例えば大阪大では、低学年次では全学共通教育として、教養教育と国際性涵養教育があり、これらを中心に学ぶ。国際性涵養教育は、語学を実践的に修得し、国際化に対応するコミュニケーション能力を養うことを目的としている(図3)。このほか、AI/データサイエンスへの社会的需要の高まりにこたえるため、全学的にプログラムを導入している大学もある。
また、東京大では、すべての学生が、教養学部前期課程の6つの科類に分かれて入学し、3年次以降の後期課程で専門分野の学部・学科を選択することができる(図4)。
大学での学びの進め方は、大学によってさまざまであるが、大まかな傾向としては、大学の規模が大きいほど選択科目の自由度が大きい傾向にある。逆に単科大学など規模の小さい大学では、教員数も限られているため開設科目が少なくなってしまう。さらに、授業の方式も大学によって異なる。大教室の講義が中心の大学もあれば、少人数の講義やゼミが中心の大学もある。
図4 東京大 前期課程と後期課程(2024 年4 月実績に基づく)
②教員の研究内容
多くの大学では、2年次後半から専門教育が行われる。専門科目を学修するとともに、研究室やゼミに属し、学部・学科という枠組みよりもさらに専門分野に特化した教育・研究が行われる。研究室やゼミでは、教員の指導下で少人数での教育・研究を進める。したがって、教員の研究実績やテーマ、著書などを知っておくことも大学選びでは重要である。興味・関心を惹きつける研究室やゼミが見つかれば「この大学で学びたい」というモチベーションがより高まるだろう。各大学のホームページには、教員の一覧があり、研究室やゼミのホームページもあるので、参考にしてもらいたい。