


大学選びのポイント ⑶個別の大学を調べる Part3


この記事は大学選びのポイント ⑶個別の大学を調べる Part2の続きです。こちらの記事も併せてご覧ください。
④学費および奨学金や学生支援の充実度
国立大学の授業料は、文部科学省の省令に定める標準額(2025年度現在は昼間部535,800円)を踏まえつつ、各国立大学が一定の範囲内でそれぞれ定めることになっている。ほとんどの国立大学では、標準額と同額に設定されていたが、2019年度から東京工業大(現:東京科学大)、東京芸術大で、2020年度からは千葉大、一橋大、東京医科歯科大(現:東京科学大)で授業料が値上げされた。2025年度から東京大で授業料が値上げされる一方、世帯年収による授業料免除の対象を拡充する見込みである。
公立大学の学費は、基本的には国立大学に準ずるが、入学金については設置する自治体の出身者とそれ以外とで差をつけており、地元出身者のほうが安い場合が多い。
私立大学の学費は、大学によって大きく異なり、また、学部によっても異なる。通常、文系学部よりも理系学部のほうが学費は高く、医学部医学科が最も高い。大学間で学費を比較する場合には、学費の総額で比較することが重要である。授業料が安くてもその他の施設設備費や実習費が高いことがあるからだ。
また、授業料免除や、返済が不要な給付型など大学独自の奨学金制度が充実している大学も多いので調べておこう。日本学生支援機構の取り扱う奨学金には、「貸与型」と「給付型」がある。「貸与型」には第一種奨学金(無利息)・第二種奨学金(利息付)がある。それぞれに学力や家計に基準が設けられ、支給金額も異なるので、詳細は独立行政法人日本学生支援機構のホームページ(https://www.jasso.go.jp/)で確認してもらいたい。この他にも自治体や民間企業・団体による奨学金もあり、よく調べて利用すれば、学費負担の軽減にもなる。
なお、2020年4月から住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の学生を対象に、文部科学省による「高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)」が開始された。これにより、給付奨学生の新規採用者は2019年度の18,919人から、2020年度には272,233人と大幅に増加したが、2021年度は128,063人、2022年度は124,361人、2023年度は119,673人と大きく減少した。なお、この制度は一定の要件を満たす大学等のみを対象としており、対象校かどうかは文部科学省のホームページでも公表している。 (https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/1420041.htm)
【注意点】
この「高等教育の修学支援新制度」は、1年ごとの保護者及び本人の経済状況により給付額を決定する。年単位で支給額が変わるので、前々年度よりも前年度で収入が増えた場合は、給付額が減る、もしくは給付そのものがなくなる場合もある。
自宅外通学となる場合は、学生寮の利用も検討してみよう。共同生活から得られる経験は、大学卒業後の人生にも大きな影響を与えることになるはずだ。なお、学生寮を利用する場合は、費用だけでなく立地や設備も確認しておこう。安くて快適な学生寮がある一方で、老朽化して設備が不十分だったり、大学から遠くて通学が不便だったりする場合もあるので、注意しよう。

