


入試方式の多様化


特集 入試の多様化(学校推薦型選抜、総合型選抜、英語民間試験利用)
大学入試は今、大きな変革期を迎えている。共通テストは新課程による試験へと移行し、各大学における選抜についても、学力試験だけでは測れない多面的な評価を取り入れた選抜方式が積極的に導入されている。学校推薦型選抜や総合型選抜などの早期に合否が決まる年内入試が広がりを見せる一方で、従来の一般入試の志願者は減少傾向にある。また、英語の4技能(読む・書く・聞く・話す)を総合的に測るための英語民間試験の導入も進んでいるが、家庭の経済状況や住んでいる場所によって受験のしやすさに差が出ないよう、公平な機会をどう確保するかが重要な課題となっている。
複雑な状況を乗り越え、自分に最適な道を選ぶためには、まず多様な入試制度それぞれの特色をしっかりと把握することが不可欠である。その上で、自分自身の強みや学びたいこと、将来の目標に最も合った入試方式を見つけ出し、戦略的に準備を進める必要がある。もちろん、1つの大学・学部に対して複数の方式で挑戦することも、合格の可能性を広げる有効な手段となるだろう。
今回の特集では、入試の多様化をテーマとして、学校推薦型選抜、総合型選抜や英語民間試験利用について解説する。
1 入試方式の多様化
グラフ1は、2024年度入試の入試形態別入学者の割合を示したものである。私立大学では、学校推薦型選抜・総合型選抜による入学者の割合が59.3%(前年度58.7%)にのぼり、一般選抜による入学者の割合は4割程度となっている。国公立大学でも学校推薦型選抜・総合型選抜の導入が進んでおり、国立大学では18.5%、公立大学では30.5%の入学者が、学校推薦型選抜・総合型選抜によるものである。
2024年度入試で学校推薦型選抜を実施した国立大学は77校(全体の93.9%)、公立大学は97校(同99.0%)であった。総合型選抜については、国立大学は65校(同79.3%)、公立大学は42校(同42.9%)となっている。総合型選抜は、2000年以降、AO入試として私立大学を中心に急激に導入が進んだ。2024年度入試は前年度から8校増加し国公私大670校(全体の85.6%)で実施された。
学校推薦型選抜・総合型選抜は、自分の長所や能力が評価される入試方式を選んで受験したり、同じ大学を複数回受験することが可能になったりするなど、受験生にとってメリットがある。大学にとっては、アドミッション・ポリシーに合ったモチベーションの高い学生を入学させることで、教育や研究に好影響を与えられるメリットがある。
グラフ1 大学入学者の入試形態別割合(2024 年度)
出典:文部科学省「令和6 年度国公私立大学入学者選抜実施状況」
グラフ2 総合型選抜(AO 入試)実施大学数の推移
出典:文部科学省「令和6 年度国公私立大学入学者選抜実施状況」
2020年度までの推薦入試・AO入試では原則として学力試験を課さない場合が多かったため、結果的に大学生の学力低下を招いているとの批判があった。そのため、2021年度入試以降の学校推薦型選抜・総合型選抜では、各大学が実施する評価方法(小論文、プレゼンテーション、資格・検定試験の成績等)に加え、共通テストも用いて1次選考や2次選考を行う大学が増えており、一般選抜以外の方式においても一定水準以上の学力が要求される形となっている。
2025年度の難関国立大学における学校推薦型選抜・総合型選抜の実施内容についてまとめた。なお、変更が生じる可能性もあるため、7月頃に各大学が発表する2026年度入試用入試要項や選抜要項で必ず確認すること。