


入試の多様化 ー総合型選抜ー


従来のAO入試は、1990年に慶應義塾大が湘南藤沢キャンパス(SFC)で最初
に導入した入試方式で、その後(特に2000年以降)私立大学を中心に急速に拡大
した制度である。AOは、アドミッション・オフィス=入学許可事務局を意味す
る。大学の求めるアドミッション・ポリシー(受け入れ方針、すなわち学生像)
に合致しているか、書類審査や面接などで合否を決めるものである。
AO入試から総合型選抜への最大の変更点は、学校推薦型選抜と同様に、各大
学が実施する小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係
るテスト、資格・検定試験、もしくは共通テストの少なくともいずれか1つによ
る学力評価が必須とされたことである。また、志願者本人が記載する活動報告書、
大学入学希望理由書などを積極的に活用するとされている。
なお、東北大学のように、従来の「AO入試」の名称を2021年度以降も採用してい
る大学もある。
◆総合型選抜の概要
総合型選抜は、大学が求めるアドミッション・ポリシーに合致するかどうかを
基準に、主に書類審査や面接などで合否を判定する。
1次選考は、主に書類審査となる。エントリーシートに志望動機や高校での活
動実績、将来の学習への意欲などを記入し、それが大学の求めるアドミッション・
ポリシーに合致するかどうかが審査される。1次選考を通過した者には、2次選
考として面接試験や小論文試験などが課される場合が多い。大学によってはプレ
ゼンテーションやディスカッション、フィールドワークなど、より実践的な試験
が課されることもある。また、一部の大学では共通テストの成績提出も求められ
る。
国公立大学では、共通テストが課される場合と課されない場合がある。難関国
立大学では共通テストを課す場合が多く、合格するためにはアドミッション・ポ
リシーに合致するだけでなく、総合的な学力も必要になる。総合型選抜では、志
望動機や大学での研究内容などを具体的に述べる必要があるため、オープンキャ
ンパスに積極的に参加したり、自分の進みたい分野の見識を深めたりなど、大学
で何を学びたいかをしっかりと考えておくことが重要である。