世界トップを目指す国際卓越研究大学としての未来構想 東北大学 ー未知の課題に挑む「総合知」を鍛えるー

日本初の国際卓越研究大学として認定された東北大学は、今後どのような姿を目指していくのか。その全容が明らかになった。建学の理念に基づきながら、世界トップレベルの研究大学を目指す。そのためのシステム変革に取り組み、体制を新たにしたうえで設備も充実させている。「入学後に学生が伸びる大学」として長年にわたり第1位を獲得し続ける東北大学は、学生を伸ばしながら研究力も高めていく。そのビジョンについて滝澤博胤副学長にお話を伺った。
未知の課題に挑む「総合知」を鍛える
研究とは何か。その本質をひと言で表すなら「未知の課題への取り組み」です。これまで誰も思いつかなかった問いを自ら創り出して、それに答えを出す。教科書にまだ書かれていないテーマを追究し、自分だけの答えを見つけていく。高校時代までの勉強のように解法を理解して、みんなが同じように問題を解く作業と研究は、まったく異なります。
その研究の基礎となるのが多様性です。たとえば何か未知の課題と出会ったときに、どうやってそれを解いていくのか。誰もが同じ方向からアプローチしたのでは、画期的な答えなど見つかるはずもありません。
研究に欠かせない多様性を育むために、本学では2022年から学部1年生を対象としてリベラルアーツ「学問論」を必修としています。この科目では全10学部の学生を織り交ぜて15人ぐらいのグループに分けて、ディスカッション中心の講義を行います。たとえば「人間社会の攻撃性と紛争」というテーマでは、まず国際法の研究者が国際情勢について講演会で語り、次に進化生物学の研究者が人間が攻撃性を持つ理由について講義します。これを受けて各学部の学生が混在するグループで自由に議論するのです。
理系文系、文学部から医学部までの学生が、それぞれの視点で自由に意見を交わし合う。そのプロセスで出会う、自分ではまったく気づかなかった視点、想像もしなかった考え方などが、それまで自分に対して、自分で勝手にはめていた思考の枠を取り払ってくれる。まさに多様性を育むための全学教育です。
学生たちに期待しているのは、次元の異なる発想です。たとえば近い将来に自動運転のクルマを創りたいとして、どんなクルマにしたいかと考える。一般的な発想は、安全性を確保するためにとにかくセンサーを積めるだけ積む、というものでしょう。けれども研究者に望みたいのは「屋根の上に360度カメラをただ1台付けるだけで、AIが何とかする」ぐらいの大胆な発想です。













