大学での学びの内容を知る①(文理融合系)〈一橋大大学院ソーシャル・データサイエンス研究科 永山晋准教授インタビュー〉 一橋大ソーシャル・データサイエンス学部での学生の学び

大学での学びの内容を知る①(文理融合系)〈一橋大大学院ソーシャル・データサイエンス研究科 永山晋准教授インタビュー〉 一橋大ソーシャル・データサイエンス学部での学生の学び
大学での学びの内容を知る①(文理融合系)〈一橋大大学院ソーシャル・データサイエンス研究科 永山晋准教授インタビュー〉 一橋大ソーシャル・データサイエンス学部での学生の学び

 「一橋大のソーシャル・データサイエンス学部では、線形代数や微分積分といった基礎的な数学だけではなく、実際に社会で利用されているシステムの基盤となる数学など、具体的で実践的な応用を早い段階で学ぶことになります。

 例えば、検索エンジンでどのワードを一番上に出すか、スマートフォンでどのニュースをどの人に推薦するか、といったことには非常に数学的な仕組みが入っています。具体的に説明すると、こういったシステムでは文字情報を全部数字にする『埋め込み』という技術が利用されています。『今日学校に行きました』という文章も機械処理する際には、数字に変換されベクトルで表現されます。そのベクトル表現を使って、例えばこの人は学校に行っているから大学生や中高生の可能性が高い、じゃあ中高生が好むようなものは何か、ということで、中高生が他に検索しているような文字と近い記事を推薦する、といった仕組みがあります。この背景は、ユークリッド距離の計算やコサイン類似度といった数学的な操作が入っています。私たちの学部には『自然言語処理』といった授業もあり、3年次にはこうした技術を学ぶことができます。このように、単に技術を学ぶだけでなく、それがなぜ必要で、どういう風に社会で使われているのかを理解できるカリキュラムとなっています。

 現在の社会科学は、データを計測して分析する定量研究のアプローチが中心です。政治学を例に取ると、人の投票行動や政治家がどういう発言をするのか、どんな政策を取るのかといったものも、中にはランダムな行動もあるかもしれませんが、基本的にはそれぞれが持っている背景に影響を受けて決定されているはずです。誰に投票するか、投票しないのかといった意思決定は全部数値として表すことができますし、過去の発言内容といったような言葉の記録についても、先ほどの例のように現在では数学的な分析の対象にすることができます。このように、こと社会科学において社会課題を適切に設定し分析するには実践的な数学の知識が不可欠となっているので、社会科学とデータサイエンスを併せて学ぶことができるような科目が設定されています。

 また、学んだ数学を活用し、プログラミングを使って実装する機会も授業内で多く設けられています。皆さんが普通に使っているスマホやネット、アプリといったものの背景にある数学は、ものすごくたくさんあります。そういうものを、それらを数学単体で学ぶというよりは、なぜそういう知識が必要なのか、どういうふうに使われているのかということを含めて学べるのが特徴です。

 社会科学についての知識を体系的に学んだうえで、社会課題を分析し理解するだけでなく、実際に解決するために働きかけられる人材になるためには、このように数学やプログラミングについても、しっかりとした基礎を身につけることが重要と考えています」


写真1:AIの授業での学生発表の様子

AIの授業での学生発表の様子

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