〈京都大 大学院エネルギー科学研究科 川西咲子准教授インタビュー②〉

〈京都大 大学院エネルギー科学研究科 川西咲子准教授インタビュー②〉
〈京都大 大学院エネルギー科学研究科 川西咲子准教授インタビュー②〉

本記事は〈京都大 大学院エネルギー科学研究科 川西咲子准教授インタビュー〉の続きの記事です。そちらも併せてご覧ください。


〈京都大 大学院エネルギー科学研究科 川西咲子准教授インタビュー②〉


■研究室での学生の学び


 「この研究室には、工学部物理工学科の学生のうち、コース分けでエネルギー応用工学コースに進んだ学生の一部が配属されてきます。学生は4回生で配属され、卒業研究に着手します。個別の卒業論文テーマが決定した後、それぞれの研究背景から学習を開始し、実験計画について相談しながら共同で実験を進めていく形式を取っています。研究室に配属された直後から学生自身が独自に研究をデザインすることは困難なので、私の方で大枠を事前に設定し、その中から興味や資質に応じて選択してもらう方式を採用しています。例えば、シリコンカーバイドについての研究であれば、背景と問題点を説明した上で、卒業論文テーマとして適切な研究内容を提案します。同様に、太陽電池をテーマとした研究、鉄鋼精錬に注目した研究など、複数の選択肢を用意し、卒業論文での研究の進め方と期待される成果についてガイダンスを提供しています。ただし、実際の研究が当初の計画通りに進行することはほとんどありません。研究を進める中で得られる結果を踏まえながら、最終的な方向性を決定しています。

 学生にとって『答えが明確でない実験』を行うのは初めての経験となります。それまでの学生実験では結果が予想可能な実験のみを経験していて、手を動かしながら学習することには慣れていますが、未知の結果を求める研究は新しい挑戦となります。教科書で学んだ理論を学生実験で実践し、理解を深めた先に卒業研究があるという段階的な学習プロセスが構築されています。

 私の研究室では、結晶成長に関する研究を行う学生が約半分を占めています。先ほど紹介したシリコンカーバイド以外にも、太陽電池材料や熱電発電用材料など、エネルギーの有効利用や再生可能エネルギーの活用に関連するさまざまな材料研究を行う学生もいます。残りの半分は金属製精錬に関する研究を行っており、鉄や銅などの身近な金属材料を製造する際のプロセスの最適化について研究しています。これらの研究もエネルギー効率化やCO 2 削減、品質向上などの観点から素材製造プロセスの改善を目指しています。研究室全体として、高温反応を軸に、持続可能な社会の実現に向けた共通ビジョンのもとで研究を進めています」


■京都大工学部を目指す皆さんへのメッセージ


 「理系の研究では物理や化学などが基礎となりますが、実際に研究を進める場面では、研究内容を起承転結のある形で整理する必要があり、課題設定や、解決に向けたストーリーを構築することが重要です。論文作成時やプロジェクト立案時には原稿や申請書を作成する必要があり、読み手に伝わりやすい文章を書くことが不可欠です。このように、理系分野でも文章作成の機会は非常に多くあります。私自身は文章を書くことが苦手で理系を選択したのですが、実際には多くの文章作成が必要で苦労しています。意識して良い文章に触れ、表現できる語彙を増やしておくと将来役立つはずです。

 そして、個人的な感覚としては、自分が面白いと思うものに正直でいることがいいのかなと思います。私自身、学校での答えがすでにわかっている事柄を学習することに積極的に取り組む学生ではありませんでした。それよりも、身近な生活の中で『これはどのような仕組みで動いているのだろう』『なぜこのようになるのだろう』と疑問に思ったことについて、教科書などから関連する内容を探し、そこを起点に興味をもって学習を進めていたように覚えています。また、家庭で電気製品が故障した際には、修理しようと意気込んで、必ず分解して内部構造を観察し、動作原理や故障原因を理解しようとしていました。修理できたことはほとんどありませんが…。振り返ってみると、このような興味の持ち方が自分にとっても自然だったと思いますし、私の研究生活の基盤となっています。大学では最初に材料系の専攻に進学し、学習を進める中で材料全般に対する興味が深まりました。その後、エネルギー問題に貢献できる材料研究を展開したいと考え、結果として現在のエネルギー科学研究科での研究に至っています。

 工学部は男性の分野というイメージが強く残っているのもあり、学部全体でも私の研究室でも女性の数は少ないです。ただ、海外の学会に参加すると、同じ分野でも女性研究者の数が多いことがわかります。学問自体に性別的な向き・不向きがあるということではなく、女性の研究者や教員が当然のようにその分野に存在すれば、自然に女性の学生も増加していくと考えています。女性にとっては人数が少ない分野に進むことへの心理的な抵抗もあるかもしれませんが、それよりも自分の興味や好奇心を大切にしてほしいと思います。私の活動を通じて女性の皆さんにも『このような人もいる』ということを知ってもらって、進路選択の際の心理的なハードルを軽減することができればうれしいです」

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