世界を創る半導体・デジタル最前線 東京理科大学 半導体は産業のエンジン「何を」「どのように」動かすか
(2025.10.21)
第7回 東京理科大学
実力主義を教育方針とし「学生を鍛える大学」として知られる東京理科大学。その方針は、半導体教育についても徹底されています。工学部電気工学科では2年生前期から半導体工学の理論を学び始め、3年生になると先端内容を実験で実習。研究室に配属される4年生からは一段とレベルアップし、修士になると国際学会で発表する力がついていきます。
学部3年生のうちから先端半導体技術を使って実験
半導体は産業のエンジン「何を」「どのように」動かすか
研究室で取り組んでいるテーマは、人工知能(AI)集積回路と半導体量子コンピュータです。人工知能については、クラウドではなくエッジ環境で使えるAI、すなわち「手のひらの上のAI」の開発がテーマです。AIといえばインターネット経由で使うものと思われがちです。しかし、車の自動運転などでは、瞬時に適切な判断が求められ、その都度ネット経由でやり取りしていては間に合いません。理想は、車に搭載したバイスの中に組み込まれたAIによる瞬時のデータ処理です。それもできる限り消費電力を少なくしたものが望ましい。そのために開発しているのが、全結合型イジングマシンLSIです。
もう1つのテーマは量子コンピュータにスピントロニクス、つまりスピンと呼ばれる磁気的な性質を組み合わせて、高性能化と消費電力の抑制を両立させる技術です。これは世界でも、まだほとんど取り組まれていないチャレンジングな課題です。
いずれも社会的な問題の解決につながる実践的な技術であり、その根幹となる半導体は、まさに産業のエンジンです。大切なのは、そのエンジンで「何を」「どのように」動かすのか。具体的な産業化、すなわち大学起業支援の体制が整備されているのも、本学の特徴です。









