未来を拓く人財育成 大阪大学 一つの専門だけでは「答え」が出ない時代に
(2025.10.27)
本記事は「未来を拓く人財育成 大阪大学 適塾を「精神的源流」とする学問の分野を超えた学び」の続きです。そちらも合わせてご覧ください。
一つの専門だけでは「答え」が出ない時代に
いまの時代になぜそうした総合的な学びが必要なのか。それはこれから皆さんが生きる世界に、一つの専門分野だけでは解決できない複雑な課題が山積しているからです。例えば記憶に新しい2020年に始まったコロナ禍では、感染症や免疫、薬学などの専門家が治療やワクチン、マスク着用などの対策を打ち出しましたが、社会に生きる人々がどのように行動すべきかについては、誰も「正しい答え」を持ち得ませんでした。大阪大学ではその反省から2021年、感染症総合教育研究拠点(CiDER)を設立し、医学に社会学やコミュニケーション学を組み合わせ、次のパンデミックから人々の「いのち」と「くらし」を総合的に守る研究を進めています。
国民的作家として知られる司馬遼太郎は、かつて小学5年生の教科書向けに「洪庵のたいまつ」という題で、緒方洪庵のことを述べた文章を書きました。その文章は「世のために尽くした人の一生ほど、美しいものはない」という言葉で始まります。高校生の皆さんには、ぜひ本学で学問の本当の楽しさを味わうとともに、人々の命を救うために一生を研究と教育に捧げた洪庵の「美しい生き方」の伝統を、引き継いでくださることを願っています。

▲吹田キャンパス内に竣工した大阪大学・日本財団感染症センター。このセンターに設置された感染症総合教育研究拠点(CiDER)では、感染症の脅威から「いのち」と「くらし」を守るため、国内外の研究機関と連携しながら、総合知を形成する研究を行っている。









