就職からみた大学選び①(総論、一般的な就職)part1
特集 就職からみた大学選び①(総論、一般的な就職)
2025年1月にドナルド・トランプが大統領に就任して以降、アメリカの関税政策などの影響も一部業種ではみられるが、社会全体としてみるとコロナ禍以降の 業況感は良好な状態となっている。また2026年3月に大学を卒業する「新卒」を 対象とした企業・法人による採用予定数も高い水準を維持し、企業・法人に対し 学生が有利であることを指す「売り手市場」の傾向が続いている。
今回は「就職からみた大学選び」を考察する。大学受験の段階で、大学卒業後に働きたい職種や就職したい企業についてのビジョンを持つことで、学びたい内容をある程度絞り込むこともできるだろう。さらに、卒業後の活躍の場を想像することで、受験勉強へのモチベーションにもなるはずだ。
なお、大学院進学を考える皆さんは、次回に取り上げる「就職からみた大学選び②(研究職、専門職、大学院進学)」を参考にしてもらいたい。
1.企業の採用動向
新型コロナウイルス感染症が2023年5月に「5類感染症」に移行してから2年が経過した。インバウンド需要やサービス業での復調が経済活動を押し上げている一方で、個人の消費活動においては物価上昇に賃金の上昇が追いつかず、実質賃金の低迷が観測されている。
企業は経済活動が活性化し業績が伸びれば採用人数を増やす。逆に悪化すれば、採用人数を減らす。常に景気の動向に就職状況は左右される。グラフ1を見てほしい。
1980年代後半から1991年頃までは、バブル経済と呼ばれた好景気により、求人倍率(求人総数÷就職希望者数)は高水準で推移したが、1991年にバブル経済は崩壊し、求人倍率は1996年3月卒では、1.08倍にまで落ち込み、「就職氷河期」時代になった。
1990年代後半になると、インターネットの普及に伴うITバブル※ 1 で一時的に求人倍率は改善したが、それも間もなく崩壊した。さらに、2008年にリーマン・ショック※ 2 をきっかけとした世界同時不況が日本にも波及し、景気は悪化し、2010年3月卒から求人倍率は低下し、2012年3月卒の求人倍率は、1.23倍まで低下した。
2013年以降は、政府の実施した一連の経済政策が功を奏して景気が回復し始め、2019年3月卒の求人倍率は1.88倍まで回復した。その後、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、2022年は1.50倍となって以降、近年上昇傾向がみられたが、2026年は1.66倍と、2025年の1.75倍から0.09ポイント低下しているが、採用意欲は安定しているといえる。人手不足の世相は大きく変容していない。
※ 1 IT バブル:1999 年から 2000 年にかけて、日本ではインターネット関連企業への過剰な投資や、株価の高騰などが起きた。
※ 2 リーマン・ショック:2008 年、米国の投資銀行リーマン・ブラザーズが、サブプライム・ローン問題で経営破綻したことにより、金融機関等が連鎖的に経営危機に陥り、世界的金融不安が起きた。

■企業規模・業種別就職状況
直近の就職状況を従業員規模別の求人状況からみてみよう。
従業員数1,000人以上の企業の求人倍率は、2026年3月卒は0.69倍となり、前年から0.03ポイント微減した。一方従業員数1,000人未満の企業の求人倍率は、2026年3月卒では3.64倍となり、前年から0.02ポイント微増。
2026年3月卒の求人総数は、従業員数1,000人未満の企業では551,600人で、前年より33,700人減と大幅に減少、就職希望者数も、従業員数1,000人未満の企業では151,400人と、前年から10,200人減と継続して減少した。
一方で従業員数1,000人以上の企業では、求人総数は213,200人で前年から1,300人増加、就職希望者数は309,400人で前年から16,000人増加と、対照的に大きく就職希望者数を増やす結果となった。
学生の大手志向が強まる中で、中小企業では人材の確保が難しくなっている状況が見て取れる。

業種別の求人倍率の推移をみると、前々年度に求人倍率が激増した建設業が落ち着きを見せて減少。同様に前々年に求人倍率が増加した流通業でも反動で7.44ポイント減少したが、それでも他業種と比較すると高い水準が続いている。
表3に、業種別求人総数と民間企業就職希望者数の推移についてまとめた。求人総数は流通業で前年の反動で減少した他、他業種でも軒並み減少となった。就職希望者数が前年比で減少したのは製造業とサービス業(参考値)であり、建設業、流通業、金融業、情報通信業では増加となった。













