サイエンスセミナー 世界の不思議を突き詰める、量子力学 part1

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相対性理論や量子力学に魅せられて

 私は大学で理学部物理学科に進学しました。ただ物理学といってもいろいろなジャンルがあります。私が興味を持ったのは、素粒子物理から生物物理まで幅広い分野においてベースとなっている量子力学でした。

 量子力学の世界には、不思議な話がいくつもあります。その一例が「電子の二重スリット実験」です。板に二つのスリット(すき間)を開けておき、そこに向けて電子を飛ばします。板の後ろにはスクリーンを設置しておいて、電子が当たった跡を観察します。その際に電子を一つずつ飛ばすと、普通ならどちらかのスリットを一つだけ通るはずなのに、実際にはスクリーンに波のような縞模様が浮かび上がります。つまり一つの電子が同時に二つのスリットを通ったような振る舞いをするのです。

 このように不思議な量子力学をさらに突き詰めたいと思い、大学院はアメリカのイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校に進みました。そこで出会った指導教官が超低温の原子に関する研究者でした。物質は熱によってエネルギーを与えられると、動きがランダムになります。逆に温度を下げればランダムな動きがなくなり、純粋な量子力学的効果が見えてきます。例えば、常温で水を入れたコップを回転させると、真ん中に渦ができます。回転速度を速くすれば、渦がどんどん大きくなります。ところが超低温、絶対零度(0K=約-273・15℃)近くまで温度を下げた液体を回すと何が起こるか。最初は渦が一つできますが、速く回すと渦が大きくなるのではなく、渦が二つに増えるのです。さらに速く回すと渦は三つになる。これが量子力学的な効果であり、このような超低温における物理現象についての研究が、今に至るバックボーンとなっています。






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