


東京大学ヒューマニティーズセンター
「顔」は何を語るのか:文学の読み方と「顔」 オープンセミナー開催

文学作品における登場人物の「顔」の描かれ方、作者の「顔」と作品との結びつきは、読者にしばしば文学作品の読み方を示す。
そこで今回のオープンセミナーでは、明治・大正の例を具体的に見る。
詳細は以下の通り。

報告1. 明治小説の口絵・挿絵と顔の問題(出口 智之)
明治の小説に附された口絵や挿絵を見ていると、たまに不思議な作品に出会うことがあります。たとえば、森鴎外「文づかひ」の主人公は、明らかに鴎外自身の顔で描かれています。また、樋口一葉「大つごもり」でキーとなる人物、石之助の顔は不自然に隠され、田山花袋「蒲団」のヒロイン芳子も、本来であれば女の顔は絵の華なのに、あえて向こうむきになって描かれていません。描かれた顔と描かれない顔、フィクションの世界に重ねられる作家の顔。それらの顔のなかには、小説を読むためのガイドラインや、近代文学の根幹にかかわる問題までが潜んでいたのです。
報告2. 「美人」の「基準」と和歌文化――大正期の場合(永井 久美子)
九条武子、柳原白蓮、江木欣々、もしくは林きむ子。彼女たちは、大正期に時代を代表する美人であると称されました。今回のセミナーでは、「大正三美人」なる発想を支えた価値観とは何かを探り、以前のセミナーで検討した「世界三大美人」言説との関連性も考察します。小野小町が「世界三大美人」の一人に数えられたこと、九条武子と柳原白蓮が歌人であったことから、和歌を詠むことと美的評価との関係を考えます。
(原文ママ)
日時
2023年12月1日(金)17:30 - 19:30
開催形式
Zoomオンライン
報告者
出口 智之(東京大学大学院総合文化研究科 准教授)
永井 久美子(東京大学大学院総合文化研究科 准教授)
ディスカッサント
髙岸 輝(東京大学大学院人文社会系研究科 教授)
石井 悠加(四国大学文学部 講師)
主催
東京大学ヒューマニティーズセンター※本記事の内容は掲載日時点の情報です。詳しい情報は大学公式HPから確認してください。
■参考ページ
https://hmc.u-tokyo.ac.jp/ja/open-seminar/2023/101-facial-expressions-literature/
■東京大学
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/index.html
■大学案内(東京大学)