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超塩基に匹敵する強塩基性を酸窒化物で実現

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 東京工業大学国際先駆研究機構元素戦略MDX研究センターの宮﨑雅義助教、北野政明教授、細野秀雄栄誉教授らは、超塩基に匹敵する強塩基性を酸窒化物で実現した。


 これらの成果は既存の塩基触媒性能の改善に留まらず、新規反応系の構築に資する結果である。

科学に興味のある人は必見だ。


 詳細は以下の通り。

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■概要


 東京工業大学国際先駆研究機構元素戦略MDX研究センターの宮﨑雅義助教、北野政明教授、細野秀雄栄誉教授らは、窒素イオンと酸素空孔が隣接した構造を有する六方晶BaTiO3-xNyが、超塩基触媒に匹敵する高い塩基性を示すことを見出した。


 炭素―炭素の結合形成やビニル基の転位反応を触媒する塩基性酸化物は、酸素原子が塩基点として作用するため、酸素イオンとの電気陰性度の差が大きいアルカリ金属やアルカリ土類金属を用いて触媒が開発されてきた。本研究では酸素イオンではなく、酸素空孔に隣接した窒素イオンを塩基点とした塩基触媒を開発した。


 本研究で合成した六方晶BaTiO3-xNyは、−2価の酸素イオン(O2-)を−3価の窒素イオン(N3-)で置換するので、酸素空孔が生成し、それが窒素イオンに隣接している。酸素空孔にトラップされた電子は、隣接した窒素イオンと相互作用し、より電子密度が高く、エネルギーが高い準位を形成する。それによって、極めて高いルイス塩基性が発現する。これにより、この物質は六方晶BaTiO3-x酸化物、あるいは酸素空孔を含まない窒化物と比較して、二酸化炭素やクロロホルム吸着、クネフェナーゲル縮合反応に対して高い触媒作用を示した。窒素イオンとそれに隣接した酸素空孔を用いた塩基触媒設計は六方晶BaTiO3系に限らず、これまで報告されている塩基触媒に対しても適用でき、普遍的な触媒設計指針を与える研究成果である。




■社会的インパクト


 水溶液で用いられる均一塩基触媒の塩基性は、水酸化物イオン(OH-)の塩基強度に制限され、より強い塩基性を得ることは困難である。また、液相反応での利用に限られる。一方で、固体塩基触媒は液相反応だけでなく気相反応に用いることができ、より強い塩基性を持つ触媒を用いると、これまで活性化が困難であった物質の活性化が期待できる。さらに本研究で開発した超塩基触媒は酸素イオンではなく窒素イオンが塩基点として作用するため、これまでの固体塩基触媒とは異なる性能を示す可能性がある。これらの成果は既存の塩基触媒性能の改善に留まらず、新規反応系の構築に資する結果である。




■今後の展望


 高い塩基性を示さないチタン酸バリウムに対して窒素イオンを導入することによって強塩基性を発現できることを明らかにした。今回の研究は固体塩基触媒において、窒素イオンと酸素空孔が塩基性に与える役割を明らかにしたものであり、今後の触媒開発に重要な指針を与える。チタン酸バリウムではなく強塩基性を示す酸化物に対しても、窒素イオンと酸素空孔を導入することにより、さらに塩基性が向上することが期待できる。


※本記事の内容は掲載日時点の情報です。詳しい情報は大学公式HPから確認してください。


参考ページ

https://www.titech.ac.jp/news/2023/067977

■東京工業大学

https://www.titech.ac.jp/

大学案内(東京工業大学)

https://www.toshin-daigaku.com/detail.php?id=024

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